2008年10月23日木曜日

The New Context Conference 2008

毎年恒例のThe New Context Conferenceですが、今年は11/5-6に恵比寿ガーデンホールで開催予定です!

概要とお申し込みはこちらから。

Joiは常に海外を飛び回っているわけですが、Joiが世界中で会っている中で「面白いと思う人」を集めてくるので、
日本にいながらにして世界トップレベルのカンファレンスに参加できます。しかも、今年はなんと無料での開催です!



<11/5のタイムテーブル>


★★★10:00−11:00  基調講演「LinkedInとFacebookが育むオープンネットワーク」Reid Hoffman氏★★★

基調講演は2500万人もの会員をもつビジネスSNS「LinkedIn」の創業者であり、また「Facebook」の投資家でもあるReid Hoffman氏。







★★★11:15 - 12:30 「ダイナミックなコンテンツ流通が生み出す新ビジネス」★★★

Jean-Marie Hullot氏   先日開催されたTechCrunch50で「写真版Wikipedia」と絶賛されたFotonautsの創業者

            (以前fotonautsについてブログ記事書きました)

Eric Young氏       日本のブロガーの間でも大人気の学習サイトiKnow創業者


武邑光裕氏       札幌市立大学デザイン学部教授


水口哲也氏       プロデューサー/ゲームクリエイター/元気ロケッツのプロデューサー


★★★13:30 - 15:00  「国や地域を越える決済ビジネスの近未来」★★★

Matt Flannery氏     Kiva創業者
            (以前Kivaについてブログ記事書きました。最近だとこっちのブログにもうちょっと書きました)

佐藤輝英氏       ネットプライスドットコム 代表取締役社長兼グループCEO

牛久等氏        イーコンテクストカンパニー

★★★15:30 - 17:00  「シリコンバレー in Tokyo」★★★

Ellen Levy氏    LinkedInのVP
國領二郎先生    慶應義塾大学総合政策学部教授



安田幹広氏     カカクコム取締役COO
このセッションはJoi/國領先生/折田さんと一緒に、半年ほど研究を続けてきた "Business Success in Open Networks"プロジェクトの集大成です。第1回ビデオ(Joiと國領先生)第2回ビデオ(ゲストは新生銀行の八城さん)、第3回ビデオ(ゲストはマネックス松本さん)

<11/6のタイムテーブル>

★★★10:00 - 11:00  基調講演「モバイル・インターネットの未来」夏野剛氏★★★


基調講演は夏野剛氏。NTTドコモでiモードのビジネスモデル策定に携わった後、現在は慶応義塾大学の教授、そしてドワンゴの顧問を務める。「ニコニコ動画の黒字化担当」。






★★★11:15 - 12:30  「マッシュアップで時代の先を読む」★★★


夏野剛氏          ドワンゴ顧問

Loic Le Meur氏      Seesmic創業者。先日、ビジネスウィークの「ウェブで最も影響力のある25人」に選ばれた

Lisa Sounio氏       旅人には欠かせないサービス「Dopplr」の創業者

              (DopplrについてはエンジニアのBorisにビデオインタビューしました)
Andrew "bunnie" Huang氏 ChumbyのCTO

              (Chumbyについては以前こちらの記事を書きました)

★★★13:30 - 15:00  「オープン・ネットワークが変える広告の未来」★★★

Spencer Hyman氏    一昨年はFelix Millerに来てもらいました、Last.fm。今回はCOOのSpencer Hyman氏です。

Marko Ahtisaari氏    携帯電話を利用した若者向けの広告サービスを手がけるBlyk社でブランドとデザインを担当。

渡辺洋之氏        日経BP社 執行役員


★★★15:30 - 17:00  「What's the next big thing?」★★★


●「次のトレンドは何がくるのか?」ということで、パネリストたちとJoiがトークします。








2008年10月19日日曜日

竹中平蔵さん講演メモ

竹中平蔵さんが講演なさるということで、Tokyo Gaitame Show 2008 に行ってきました。

竹中さんのお話は、わかりやすくて面白かったです。

ただ、ビデオ撮影禁止だったのでメモと記憶だけを頼りに
金融知識は低いのにがんばって書いているため、間違っていたらご指摘ください(><)


講演タイトルは「世界経済の新潮流〜日本経済再生のシナリオ〜」

まずは「大臣をやめたので、思い切ったことを言っても失言にならないのがいい」と会場を笑わせるところから竹中ワールドスタート。



<日本経済の状況はアメリカのせいだけではない>

先週NY株価が18%下がり、年初からだと米国は36%。
日本の株価は先週24%下がり、年初からだと44%下がっている。
つまり、日本の方がアメリカより下がっており、サブプライム前から下がっていた。
日本政府は日本の経済について、アメリカ発のサブプライムのせいだという声を聞くが、これは違うと思う。
アメリカがよくなれば日本もよくなるというのは間違いである。


<サブプライムについて>

「サブ」とは「下」という意味。サブマリンは海の下を行く潜水艦。サブウェイは道の下を行く地下鉄。
「プライム」とは、優良貸し付けのこと。
「サブプライム」とは、プライムの下にある、所得の低い人向けの貸し付けのこと。
よって、ハイリスクハイリターンである。

サブプライムの商品を作ったことが問題なのではない。ローリスクローリターンの商品もあればハイリスクハイリターンの商品もある。それはあたり前。

では、何が問題だったのかというと、「用リスク管理をやっていなかったこと」。これが真の問題。
リスクがある人に商品を売るときには信用リスクを行うのがあたりまえ。
このような貸し付けを行った経営者の問題である。


<サブプライム問題と日本の不良債権問題は本質的に違うもの>

-日本の金融問題は、banking crisisだった。

日本では、お金を貸し付けると、銀行が債券をもっており、債券が返ってこないと不良債権になる。
銀行の腹が痛む、banking crisis。

銀行というのは、預金を扱う。銀行が壊れて決済が行われないと、支払いをしようとしていたお金が振り込まれない等社会の決済システムが壊れてしまう

-アメリカの金融問題は、money market crisisだった。

アメリカでは、銀行が債券をもつのではなく、証券化していた。よって、銀行がダメージを受けるのではなく、banking crisisではない。

Banking Crisisは、社会に対するダメージが大きいが、コントロールもしやすい。
なぜなら銀行法、預金保険法など、コントロール/チェックするためのすべがあるから。
Money market crisisは、社会に対するダメージは少ないが、コントロール/チェックすることが難しい。
今回はこれをチェック/コントロールすることができるかどうかが鍵になる。


<アメリカは今回のMoney Market Crisis をコントロールできるか>

今回鍵となるポジションについていたのが、ポールソン(米財務長官)とバーナンキ(FRB議長)という金融に非常に詳しい2人だったことは、幸いだった。

ところが、下院は公的資金注入を否決してしまった。これは、金融がわからない人達だからとか、選挙が近いからとか理由はあるだろう。

結果、週起きたのは、confidence crisisであり、上記のbanking crisisやmoney market crisisとは異なる。
何が起こるかわからない、ということで、株価が18%下がった。
このconfidence crisisへの対応方法としては、政府/中央銀行が事態を回収しにいくしかない。

公的資金注入を行い、株価が急反発して上がった。

ところが今週また下がった。
先週はconfidence crisis。
今週はマクロ経済の悪化という別の要因。

金融の混乱は短期的な物であり、半分は収まった。
マクロ経済への負の影響は中期的な問題。

マクロ経済への影響のキーワードは負の資産効果

負の資産効果とはどういうことか。
3000万円の資産を持っていると思っていたら、それが1000万円の価値になってしまう。
そうすると、財布の紐をしめる。消費が落ち込む。
つまり、アメリカ経済に急ブレーキがかかるということ。
よって、経済対策が必要になる。
新政府は、恐らく減税するだろう。

confidence crisisが起きたが、半分収まったと言った。
なぜ半分かというと、公的資金注入はうまくいくかわからない。

ちなみに、与党も野党も1990年代日本が公的資金注入を行い、成功したので日本から学べと言っている。
これは間違いである。
日本の経験は失敗として学ぶべきである。なぜ失敗か。

日本はバブル崩壊から2003-2004年に回復するまで13,14年もかかっている。
1998年に金融国会→1999年に7.5兆円の公的資金投入後、4年間も金融危機は続いていた。
(ちなみに今回のイギリスは8兆円なのでほぼ同額)

失敗の原因は、不良資産の査定をしなかったから
いくらの資産が本当にあるのかきちんと査定し、損失を出し、必要であれば自己資産を入れるということが必要。
この不良資産の査定を、日本ではやらなかった。
だから「この銀行はもっと不良債権があるのではないか」等、事実がわからなかった。

そしてその後、竹中さんの金融再生プログラムでは、ディスカウントキャッシュフローで査定をするようにとした。
当時、日本人は政治家もマスコミもみんな反対した。
政治家は、金融については無理解、無知の人が多い中、
小泉さんのすばらしいところは、専門家の意見をきちんと聞いて、やってくれたこと。

そこで、査定とその査定に基づく注入がきちんとできた。


<発展途上国への影響>

世界経済全体の成長率は、4.4%。
うち、半分はBRICsの4カ国で、2.2%。

中国→天津のサマーダボスで温家宝さんに竹中さんが「中国経済の今後」と「中国経済の世界経済への貢献」について、質問をした。いわく、「中国経済をちゃんと運営することが世界経済への貢献である。」「慎重大胆に貢献する」と。中国の株価は70%落ちたが、インフレの弊害は押さえつつある。

インド→負の影響は少ないだろう。

ブラジル→アメリカと密接であり、成長率は影響を受けるだろう。

韓国/日本→影響を受けるだろう。


<日本の株価が下がった理由>

日本の株価は去年1年で11%下がった。
米国の株価は去年1年で6%上がっている。
日本の株価が下がっているのはサブプライムのせいではない。真の要因は3つある。

1)改革にストップがかかった

1990年代、公共事業はたくさん行われたが、1%成長だった。
小泉時代、公共事業はカットしたが、2%成長だった。
その後自由競争/構造改革がストップした。
現在の日本の期待成長率は1%に落ちてしまった。(3%と言われていた)
よって、消費が下がってしまう。

きちんと改革や新しい事業を推進することが重要。
郵政民営化が行われ、2005年には株価は1年間で42%上がった。
改革をストップしてしまうと、世界での競争に勝てない。去年は株価が11%下がった。

2)コンプライアンス不況が広がった

コンプライアンスとは、法令遵守のこと。法令遵守は当然しなければならない。
だが、現在はコンプライアンスの美名のもとガチガチの規制が行われている。

例えば建築基準法。姉歯事件でチェックが厳しくなったが、それゆえチェックする人が足りない。
その結果、住宅投資が10%マイナスになってしまった。

例えばJ-Power。外国人であるという理由で買収が止められたが、天下り先を確保したいだけではないか?
Financial Timesは"Japan is closed to investors"という記事を書いたが、日本では話題にならなかった。

外資の定義とは、外国人株主が50%以上の場合。
その原理でいくと、SONYもCANONも三井不動産もみんな外資ってことになる。

3)金融がおかしくなっている

アーバンコーポレーションが黒字倒産、ほかにも東証一部上場企業が22社も倒産している。

なぜアーバンは黒字にも関わらず銀行からお金を借りられなかったのか。
金融庁が厳しいからということもあるが、事業分類が間違っているからということもあるだろう。

SPCは、不動産投資扱いになっており、厳しくチェックをされる。
だが、機械産業の設備ビルは機械産業に分類すべきでは。


<どうしたらよいか>

3つアイディアがある。

1)羽田空港を2倍にして、24時間運営にする

観光客は留学生等、日本に来る人を増やすべき。
日本の玄関である成田は20時/21時には閉まってしまう。
法律改正もいらず、すぐできる案である。

2)法人税を下げる「スーパー特区」

日本の法人税は40%、ヨーロッパは30%、アジアは20%
庶民が困っているので所得税を下げ、法人税を上げろという声を聞くが、
強い企業は日本の法人税が高くて嫌なら海外に行ける。
強い企業がいなくなって雇用その他で困るのは、結局庶民である。

全国で無理なら、スーパー特区を作ってはどうか。
実は沖縄でやったが、要件が厳しくて適用件数ゼロだった。これが役人のやり方。これではだめ。

3)東大民営化

日本には、世界でトップ5に入るような強い大学がない。
強い大学は人材供給の面でも重要である。

Harvard、Stanfordはじめ、トップ5はみんな民営。
東大を文部科学省の制約から解き放つべきである。


<ピンチはチャンス>

安く買って高く運用するという意味では、ピンチはチャンスである。

BRICsは世界成長の半分をしめている。幸い現在、円は高い。
日本の金利は低い。外貨建ての銀行預金は円高なのでチャンス。

為替レートは、長期的には物価/購買力平価で決まる。
中期的には経常収支で決まる。
短期的には金利格差で決まる。

資産運用は多様化している。円も外貨もあるし、ローリスクローリターン商品があればミディアム/ハイリスク、ミディアム/ハイリターンの商品もある。

日本の個人金融資産は1500兆円
みんなでがんばって1%の利回りを上げたら、15兆円もできるよ!
消費税は11兆円なので15兆円は大きい。



2008年10月18日土曜日

Business Success in Open Networks- Episode #3

LinkedInJoi Labs慶應義塾大学國領研究室の合同プロジェクトとして行っている、 "Business Success in Open Networks" の第3弾映像を公開しました。

Episode1では伊藤穰一(Joi)氏/國領二郎氏により、「日本におけるオープンビジネス」の形と可能性やその背景にある考え方(サクセスとは何か/オープンビジネ
ス、オープンネットワークとは何をもってオープンと呼ぶのか/米国は本当にオープンなのか等)について考察が行いました。
Episode2では、Joiと國領先生をホストに、新生銀行の八城政基様に日本のビジネスの閉鎖性やエクソン社での人材育成方法についてお話を伺いました。

Episode3 では、Joiと國領先生をホストに、マネックスの松本大さんにお話を伺いました。松本さん、貴重なお話をありがとうございました!

早速映像をご覧ください。


Business Success in Open Networks Episode #3


<今の日本について:問題はヒエラルキー>





��松本)今の日本企業の問題は、ヒエラルキーが上がらないと力を持てないこと。「上から下に」譲るのであって、「下克上」はない。下の人は上に行くまでは発言しない(発言力がない)が、上に行ったときには価値観がおかしくなっている。




<「パラダイス鎖国」な日本>





��國領)「パラダイス鎖国」という書籍があるが、このタイトルに象徴されるように日本は変にcozy(居心地がよい)でパラダイスなことが問題。





��松本)日本では、外からは発言が届かない。中にいると発言が許されない。だから、エッジ(へり)で努力している。「最大の旧体制は自分の中にある」と自分に言い聞かせている。



<エッジをきかせるために気をつけていることは?>





��松本)人も会社も必ず古くなっていっており、死に向かっているものだ。だから、常に新しい物を入れないといけない。





��Joi)大企業をやめてベンチャーに来ても、頭の中だけがベンチャー/エッジ/シリコンバレー/アヴァンギャルドな人がいる。人は簡単には変わらない。



<マネックス社のロードマップを作ってわかったこと>




��松本)マネックスの10年プランのロードマップを作った。





まずトップダウンでフレームワーク(価値観/10年後のビジョン)を作って全社員に説明し、それを模造紙に貼った。テクノロジー/サービス/人事等についてのマイルストーンが書かれている。そのマイルストーンの間を社員がポストイットでどんどん埋めていく。



マネックスの社員は160人だが、400枚ものポストイットが貼られた。そのうち、4割程度を残して作り直して、社員全員にフィードバックした。


トップダウンで出したフレームワークは、ストレッチな物だった。それに対して経営層は「無理がある/社員がついてこないのでは?」という反応だった。しかし、逆に若者達は「面白い!できる!やろうぜ」という反応だった。それが逆流して、上の人達もノッてきた。





上の人達も元々はフォワード型の人のはずが、立場等でブレーキ体質になって

しまう。バランスを崩そうとするCEOに対して「それは駄目です!」と言

い続けた結果、ブレーキ体質になってしまう。ところが下からくると、ノってくることがわかった。


 <日本社会は世界で最もクローズド?> 


(Joi)日本人は今後変わっていくだろうか?


こういう仮説がある。アメリカはオープンネットワークなので誰でも入れるし誰でも出て行けるため、「信頼に足る人物かどうか」の
チェック機能が働く。いい人は残して悪い人は排除する、循環があるネットワーキング。例えば外資系企業だと、会社の名前よりも「個人の信用度」が重要視さ
れる。

日本はクローズドネットワークなので逃げることができず、罰することができるため、信頼は必要ない。社員を会社の中にロックインして逃げられないようにすれば、個人の信頼は必要なくなる。そういう仮説。





マネックスは日本型?アメリカ型?





(松本)マネックスの企業文化は日本型ではない。ただし、日本という国の閉鎖性は非常に強く、一人一人の個人の中にその閉鎖性は存在している。





日本は世界で最もクローズドなネットワーク、クローズドなコミュニティ。双方向の意味でホモジニアス。世界中で日本人はほぼ日本にしかおらず、日本の中にほぼ日本人しかいない。





ただし、国全体が少しずつ変わってきていると思う。








<「お上」依存が薄れ、変わりつつある日本> 


(松本)日本はオーソリティに対する考え方が強いが、近年「お上」に対する信任が落ちてきている。例えば保険料を若者が払わず、「どうせ
年金はつぶれる」と考えている。会社に対する考え方もかわってきている。かつては金融機関はつぶれないと考えられていたが、長銀、山一がつぶれた。オーソ
リティに対する依存度が薄れてきており、オープンネットワークにアシュアランスを探さざるをえなくなるだろう。


<人材は供給が需要を作る>


(國領)戦時中の巨大産業(中島飛行機等)が戦後解体され、基礎的技術力はもっているが自由になった人たちが、浜松等でネットワーキングをしてホンダ等を作ってきた。金融業界は山一、長銀等のOBがスオピンオフして面白いことをやっている。





(松本)人材は供給が需要を作る。シリコンバレーも東部の金融でボコボコになった、ファイナンスの知識がある人たちが起業していった。


(Joi)当時と今との違いは、当時はパラダイスと勘違いできない程焼け野原だったことと若い人が残っていたこと。今はパラダイスと思っている人がいる/高齢化の2点が問題。


 <5年後、日本は変わる>

 (松本)日本が変わらない理由は戦後の成功体験。官僚/政治家/プライベートセクターみんな、第二次世界大戦後、焼土と化したところから世界一位へ成長した体験を持っているため、ちょっと悪くなってもあれだけできたので大丈夫だと思っている。





そのような人は5年後にはいなくなっている。終戦時10歳の人は5年後には80歳になる。CEOのジェネレーションチェンジが起こり、政界/官僚も変わる。成功体験者がプレイヤー層にいなくなる。


先日若い社員と話していたら、「僕は産まれてから一度も日本がすごい国だと思ったことがありません。」という。そのように思っている、成功体験に縛られていない子達は、普通に競争するだろうし、オープンネットワークでないと勝てないなら普通に取り入れるだろう。



<ベンチャーではなく研究所に流れる日本の技術関連資金>

(Joi)技術者に流れるお金は、電話会社経由で研究所に流れるお金が多い。インターネットの世界では、例えばGoogleは
AdSense等のインターネット広告によって、5000億以上のお金をベンチャーの原資にした。日本でモバイルEコマース等の1000億規模の資金は研
究所に一旦入った物を吸収する形になり、イノベーションやベンチャーにつながらない。ネットがモバイルに行くとベンチャーに流れるお金が減るのではないか
と懸念している。



<次の世代へ>





(松本)アメリカだと、上司は「お前がやれ」、国際会議も「お前が行け」という。日本だと、国際会議は同じ人が行く。「次の代に任せよう」、「任せて自分も恩恵を受けよう」という発想ではなく、全部自分で刈り取ろうとする。





日本は老人が楽しい社会にするべき。今は、上に長く残らないといい思いができず、下が迷惑を受ける社会。



子供や孫もパッケージにした考え方を提示すべき。「あなたがこうすると、子供/孫はこうなっちゃいますよ」と。








<人材は「人づて」で探す>

 (國領)人の流れはどうすればよくなると思うか?仮説としては個人レベルの信頼のネットワークがポイントなのではないかと考えている。

 (松本)人の探し方は、結局人づて。リスクを落とす最大の方法は推薦/レファレンス。「自分にとっての目利き」(この人の推薦なら信用する)はいる。自分が人を紹介してもらう時も誰に紹介してもらうかが重要だし、自分が会う人も誰に頼まれたかで会う人を決める。



<松本氏の夢の組織論>

 (松本)夢の組織は、「若くても偉くなる」というだけではなく、「年をとった人が同じ組織の中でポジションが下がる」組織。

経験/知識がある人がいるのに、年をとったら止まっているかやめるかしかないのはもったいない。35~40歳過ぎたらポジションが下がってくる人が多くなると、心理的抵抗がなくなるのでは。





家族では、親が子供に「お前の代だから」と譲り、親父は手伝いをすることもある。これを企業でもできると、人材活用方法としてはローリスク、ローコスト、ハイリターンなのでは?アメリカ的能力主義とは異なる能力主義が作れるのではないか。



2008年10月14日火曜日

Creative Commons case studies

リリースは結構前なのですがあまり認知されていない気がするので、Creative Commons case studiesについてのブログ書いてみます。

これはCreative Commonsが色々なCC採用事例のケーススタディをまとめたサイトです。

例えばMagnatuneのケース:
基本情報、CCの採用、メディア掲載、CC+の採用についての情報が掲載されています。
Magnatuneとは、CCライセンスを採用した音楽レーベルで、B2Bビジネス(映画・自動車メーカー等に音楽をライセンス)とB2Cビジネス(サイトからのダウンロードは利用者が作者に渡したい金額を払うしくみ)を手がけ、売り上げの50%がアーチストに渡ります。

Magnatune advocates for "Shareable music" -- a distinct forking from
the standard, ‘all rights reserved’ approach, because users are
permitted to — rather than prohibited from — distribute further copies
of the track.


Magnatune は "Shareable music" 音楽の共有を推進しています。

The purpose of making music available in source code is to encourage
derivative works, such as remixes, cover songs and sampling. Source
code also helps users understand the make-up and composition of a work.


そしてリミックス、カバーソング、サンプリングを可能にするためにも「ソースコード公開」を推奨しています。


Jamendo
ケース。JamendoもMagnatune同様CCライセンスの音楽サイトで、広告収入の50%をアーチストに渡しています。よって、アーチストはPV次第で収入が変わります。また、ユーザは好きなアーチストにPaypalでお金を振り込むことができます。この場合は若干の管理費を除いたほぼ100%がアーチストの手に渡ることになります。

Its business model is based on the concept that the wide dissemination
of content across networks leads to popularity and prominence: ‘Be
known and recognized. Spread your music worldwide.’


「認知され、世界中の人に自分の曲を聞いてもらうことが人気・ビジネスモデルへの道」だといいます。


jamendo-revenue-share.png


Artists are encouraged to increase their revenue by:

  • embedding the Jamendo Player featuring their album into blogs and websites;
  • advertising the link to Jamendo on flyers, artists sites etc.;
  • spreading the word about Jamendo: the more popular the site, the greater the hit count and thus the greater the revenue.

11/5/2007時点で5000アルバム・336,000登録アーチストだったのが7/14/2008時点では10,443アルバム62,001アルバムレビュー、370,283アクティブメンバーだそうです。


Donationその他の数値情報も原文を見ると掲載されています。

69,000曲がダウンロード可能だった時点での数値情報としては、22ヶ月間で1,454件の寄付が行われ、合計金額はUS$21,150だったとのこと。

詳細は下記。

count.png


だいたい5ドルか5ユーロを払う人が多く最大が$204。最小が$5(サイトのデフォルト最低金額になっているため)平均は $14.55。


mean1.png


hist.png


企業だけではなく、個人のケースも掲載されています。例えばSF作家のCory Doctorow

"Not only does making my books available for free increase the number of sales that I get, but I also came to understand it artistically as a Science Fiction writer that if I was making work that wasn't intended to be copied, then I was really making contemporary work."


日本のケースもありますが少ないです。Sony eyeVioのケース。もっと増えるといいですね。

その他、GoogleとかNine Inch Nails (The Slip) (Ghost)とかFlickrとかRevverとかA Swarm of AngelsとかLegal Torrentsとか、まあ恐ろしいほどたくさんあります。アメリカとオーストラリアに偏っているので、もっと各国からケースがでるといいですね。


なお、本ケーススタディの情報は Creative Commons Attribution 3.0 License BY Creative Commons です。



Creative Commonsの「非営利」ライセンスについて考える

先日、質問を受けたので、ちょっとエントリーを起こします。



<まとめ>

Creative Commons ライセンスを採用したからといって、あなたがお金儲けができなくなるわけではありません。
Creative Commons の「非営利」ライセンスを採用したからといって、あなたがお金儲けができなくなるわけではありません。
Creative Commons の「非営利」ライセンスを採用したからといって、誰かにお金儲けをさせることができなくなるわけではありません。
Creative Commons ライセンスを採用することで儲けが多くなるか少なくなるかは、わかりません。
Creative Commons の「非営利」ライセンスの「非営利」の定義については現在研究プロジェクトが発足しています。


<非営利ライセンスについて>


**例えばあなたが何かキャラクターを作って、そのキャラクターにCreative Commons 営利OKのライセンスを採用した場合**

あなた自身がキャラクターグッズを作って販売しても問題ありません。
他の人がキャラクターグッズとか色々な物を作って販売してもライセンスに従って行われているのであれば(ちゃんと著作権者の名前を表記するとか)、問題ありません。

**例えば
あなたが何かキャラクターを作って、そのキャラクターにCreative Commons 非営利のライセンスを採用した場合**


あなた自身がキャラクターグッズを作って販売しても問題ありません。
他の人が勝手にキャラクターグッズを作ってお金儲けをしてはいけません。非営利ライセンスですからあたり前です。

ただし、「無断で」商用利用できないだけで、「決して商用利用できないわけではない」というところがミソです。

CCのFAQより引用します。

NonCommercial. You let people copy, distribute, display,
perform, and remix your work for non-commercial purposes only. If they
want to use your work for commercial purposes, they must contact you
for permission.


「非商用ライセンスの場合、非商用での利用のみを許可します。利用者が商用利用をしたい場合は、あなたに許可を得なければなりません。」要は、別途許可を得れば商用利用も可能なのです。

So “NonCommercial” means that the work cannot be used commercially?

Not quite. The “NonCommercial” license option means that you do not
receive the commercial rights via the Creative Commons license. You can
always approach the licensor directly to see if they will separately
license you the commercial rights.

「Q:非商用ライセンスのコンテンツは、商用利用はできないの?A:あくまでクリエイティブコモンズライセンスで与えられている権利が非商用に限定されるということであって、商用利用の権利について権利者に直接交渉することはできますよ」


他の人があなたにキャラクターグッズを作ってお金儲けするという特約を結びたいという話があれば、そのような直接交渉を行い、キャラクターグッズを作ってもらい、レベニューシェア等でお金儲けするということも可能、ということです。


で、この特約的なところを円滑に促進するためにCC+という物ができましたという話は、以前のエントリーで紹介していました。

いちいち一件一件問い合わせがくるのを対応するよりは、CCライセンスは非商用でこのライセンス。これ以外のビジネスディールを行いたい人はこちらを見てね!というリンクをはっておくという仕組みになっています。

CCのサイトだとこちらが詳しいです。

CC+ is a protocol providing a simple way for users to get rights
beyond the rights granted by a CC license. For example, a work's Creative
Commons license might offer noncommercial rights. With CC+, the
license can also provide a link by which a user might secure rights beyond noncommercial
rights -- most obviously commercial rights, but also additional permissions or
services such as warranty, permission to use without attribution, or even access to performance or physical media.

The CC+ architecture gives businesses a simple way to move
between the sharing and commercial economies. CC+ provides a
lightweight standard around these best practices and is available for
implementation immediately.

Use cases: Restrict commercial use with a CC license with the NonCommercial
condition, and then use a separate agreement with some party (could be
yourself or third-party) to broker commercial rights (licensing, sales,
reproduction, etc).



<クリエイティブコモンズによる機会創出・機会損失>


クリエイティブコモンズによるお金儲けが「できない」わけではないというのが上記の論点。


もう一つの論点は、クリエイティブコモンズライセンスを採用することによって、機会創出がどのくらいあるのか、機会損失がどのくらいあるのかということです。


そもそも論として、all rights reserved にして囲っていると、よいコンテンツ・よいクリエイターが認知されず、認知されないと興味ももたれず、興味をもたれないと購買されず、購買されないとお金が儲からない。。。という話があります。
昔CCのCEOであるJoiが、クラブでDJをやっていたときにはミュージシャンの人が「かけてください!」とレコードを持ってきたものらしい。今も新人のミュージシャンの人はラジオ局とかを回って「かけてください」とCDを渡して歩くらしいと聞いたことがあります。
このへんが機会創出の話。


まずは無料でも露出を増やして、次につなげる。クリエイティブコモンズには色々な側面があるけれど、そういった側面も大きい。だからこそColumbiaはOtorevoで全くの新人アーチストだった Good Crew のvocal trackをCCライセンスにしてリミックスコンテストを開催しました。もちろんCDは有料で販売しているのですが、vocal trackをCCライセンス。プロモーションビデオはYouTube。


CCライセンスでサンプル的な物(音質が低い・画質が低い)を出して、高クオリティの物はお金をもらって販売するという手法は色々なところでとられていて、有名なものとしては以前も紹介しましたが Nine Inch Nails が"Ghosts I-IV"  というアルバムを CC licenseでリリースしたというもの。NINのサイトで36曲中 9
曲は無料でダウンロードでき、 5USD 払うと 36 曲すべてをダウンロードできる。 CD は 10USD,
ハードカバーのデラックス版は 75USD, そして限定版のボックスセットは 300 USDで販売。 こうしてNINは1週間で1600万ドル(約16億円) を売り上げ、サイトでの直接販売だったため、ほとんどの売り上げがアーチストの手に渡ったといいます。ただ、 NIN は大物アーチストなので特殊事例ですけれど:P


もう一つが機会損失の話。


CCライセンスで公開せずにコピー不可で流通をさせないようにし、だからこそ物が売れるんだという話です。CCライセンスで公開した結果、CDを買う人が少なくなるのではとか、DVDボックスが売れなくなるのではとか、そういう話ですね。


さて、テレビ番組を勝手にYouTubeやニコニコ動画にアップしてはいけません!が、涼宮ハルヒの事例で、角川さんが紹介していた話は一つの参考事例にはなると思います。(一般化はできないけれど)

涼宮ハルヒは最初、TOKYO MX、TVK、チバテレビ等の局で放映されていてキー局でやっておらず、YouTubeにアップされて知名度が向上。そしたら今度、YouTubeに英語字幕付き(fansub)がでてきて角川さん的には「うっ」と思っていたが英語でDVDを発売したら北米だけで6万枚も売れたとのこと! fansubが広告効果を生んでいたということです。(日本でも8万枚なので、6万枚売れたのはすごい)


YouTubeにアップされることで、ハルヒのDVDを買うはずだった人が買わなくなった機会損失と、YouTubeにアップされなかったらハルヒなんて知らなかった人が買うようになっていた機会創出はオンバランスでどのような物なのかは、事例の積み重ねでわかっていく物なのでしょう。Creative Commons ライセンスで発売されたコンテンツが、認知が上がって却って売れたのか、オンラインで読めるから却って売れなくなったのかはいくつか検証事例が出ていますが、まだまだ結論は出ていないと思います。以前こちらのブログで昔書きましたが:

1つはO'reilly の Asterisk: The Future of Telephonyという本で、 O'reilly の「CCライセンスにすることによって本の販売数は上がるのか/下がるのか」という研究の一環としてCC Attribution Non-Commercial Non-derivativesライセンスで公開。結論的には、ダウンロードを開始したからといって本の販売数の傾向に大きな影響はでていないようであり、Asteriskというこの本は技術書としてはかなりの売れ行きの部類に位置したといいます。

もう1つはThe Human Sciences Research Council (HSRC)で、南アフリカの研究機関が研究結果をまとめ、書籍化した物をCCライセンスのPDFで公開した結果、売上げが3倍になったといいます。ただし、特殊なケースですので一般化はできません。


その他のケースについてはCCサイトで膨大なケーススタディが公開されているので、興味がある人はのぞいてみてください。


<「非営利」ってなに?>


もう一つの論点が、そもそも非営利って何?ということで、これは様々な議論がされています。


物を作って販売する等のあからさまな営利活動はわかりやすい。でも、商用なのか商用ではないのかがわかりにくい例も多い。よく取りざたされるのがブログ。ブログでお金を儲けていないからOKという意見、ブログにAd Sense等の広告を掲載していたらお金儲けているからNGじゃんという意見、ブログに掲載しているAd Senseなんて運営費のたしぐらいにしかならずお金儲けているうちに入らないという意見、Ad SenseをはっているかはっていないかでCCコンテンツを利用できるかできないかが決まるなんておかしいという意見等々。

広告に使われたら営利使用か?→営利とみなされるのが通例。
NCコンテンツを見るには必ず広告を見なければならない仕様になっていたら営利使用か?
レコード店のpodcastでCC-BY-NC-SAライセンスの曲だけかけていたらライセンス違反か?
NCライセンスのコンテンツを検索した検索結果に広告が掲載されていたら?
それがNPOがやっているものだったら?教育目的だったら?

で、このあたりを整理する研究プロジェクトが発足しています。

Creative Commons Launches Study of “Noncommercial Use”


The nonprofit organization Creative Commons has launched a research
study that will explore differences between commercial and
noncommercial uses of content, as those uses are understood among
various communities and in connection with a wide variety of content.
Generous support for the study has been provided by the Andrew W.
Mellon Foundation.


Joiのコメント:


“The NC term is a popular option for creators choosing a Creative
Commons license, and that tells us the term meets a need. However, as
exponentially increasing numbers of works are made available under CC
licenses, we want to provide additional information for creators about
the contexts in which the NC term may further or impede their
intentions with respect to the works they choose to share, and we want
to make sure that users clearly understand those intentions. We expect
the study findings will help us do a better job of explaining the
licenses and to improve them, where possible. We also hope the
findings, which will be made publicly available, will contribute to
better understanding of some of the complexities of digital
distribution of content.”


CCライセンスのうち、非商用ライセンスを使う人は多い。ライセンスをつける人も使う人も「非商用」がさす定義をきちんと理解できるよう定義することが重要で、この研究はそのために行われる。

この研究をleadするのはVirginia

“Developments in technology, social practices, and business models
are pressing the question of what should count as a commercial use,”
explained Creative Commons Special Counsel Virginia Rutledge, who is
leading the study. “The answer to that question should come from
creators, who should be able to specify what uses they want to permit,
subject to the limitations and exceptions to copyright or other
applicable law. Creative Commons is fortunate to have a stellar group
of legal, public policy, and information technology experts advising on
this project, as well as the help of its extensive international
network of affiliates.”


何が商用で何が非商用かは技術・社会通念・ビジネスモデル等の側面から沸きあがっている大きな質問で、その答えはクリエイターが何は許可し、何は制限すべきと考えているかを尊重すべき。


Research is expected to be completed early in 2009. The study will
investigate understanding of noncommercial use and the Creative Commons
NC license term through a random sample survey of online content
creators in the U.S., a poll of the global Creative Commons community,
and qualitative data gathered from interviews with thought leaders and
focus groups with participants from around the world who create and use
a wide variety of content and media.


この研究は2009年に完了する予定で、アメリカでのアンケート調査とグローバルなCCコミュニティでの投票、世界中の有識者へのインタビューが行われるとのこと。


日本の有識者を選ぶときは、ニコニコ動画の「野生のプロ」とか「嫌儲」とか、ちゃんとわかっている人に聞くといいと思う。。。>中の人

※私はCreative Commonsの中の人ではありません。。。:P



2008年10月9日木曜日

クリエイティブコモンズがグッドデザイン賞を受賞

<グッドデザイン賞受賞について>


クリエイティブコモンズグッドデザイン賞を受賞しました。

 ソリューションビジネス、サービスシステム領域、での受賞です。

受賞ページはこちら


審査員からのコメント:

デジタルコンテンツは、複製が容易なゆえに、知識の伝播を加速する。しかし、同時に著作物であるがゆえ、扱いには注意を要し、コンテンツを利用する一般市
民にとって、利用障壁となっている。クリエイティブコモンズは、このディレンマを解消するシステムである。情報の送り手がコンテンツ毎にライセンス許諾を
行なうことで、安価に使う人が安心して引用できるようにしている。近年、コンテンツの送り手は、企業から一般市民にシフトしてきており、より多くの人口が
情報を発信するようになった。このため技術的には複製が可能でも、法体系が現状に追いつかない状況が拡大している。クリエイティブコモンズは、ユーザーの
知的活動を促進する必要不可欠なシステムである。

This Work by JIDPO is licensed under a Creative Commons Attribution-NoDerivs 2.1 Japan License.


<グッドデザイン賞のクリエイティブコモンズライセンス採用について>

ちなみに昨年の受賞作品から、受賞者の賛同が得られたものについては、グッドデザイン賞の受賞情報がクリエティブ・コモンズ<表示・改変禁止>ライセンスで掲載されています。

なので、上記「審査員からのコメント」も、表示を明記(JIDPOこと日本産業デザイン振興会の名称を表記)、改変せずにそのまま掲載するということでライセンスにのっとって、私のブログに掲載しているというわけです :D

去年のプレスリリースはこちら

で、例えばCCの受賞ページにいくと、このページのコンテンツは「クリエティブ・コモンズ」<表示・改変禁止>日版ライセンス2.1と一番下に表示されているのが見えます。

ちなみに今年はクリプトンの初音ミクも受賞!(おめでとうございます!)
が、初音ミクの受賞ページにいくと、画像の下には「この画像の無断転載を禁じます。 (C)JIDPO All rights reserverd」と書かれており、CCライセンスについての記述もない。つまりクリプトンさんは受賞情報をCCライセンスで公開することに同意はしなかったことがわかります。
(。。。どうでもいいけどミクの審査員コメント「ネットコンテンツの新たな可能性を提示している。」の一言ってまじですか(><)もうちょっと書いてぇ。。。)

Firefoxの灯火も受賞ですね、おめでとうございます!
こちらはCCライセンスですね。ということで写真も掲載。

ダウンロードの様子をウェブサイト上に可視化する取り組み

Creative Commons Attribution-NoDerivs 2.1 Japan License by JIDPO


ちなみに去年は「ニコニコ動画」「Second Life」「Firefox 2」等も受賞。

ニコニコ動画

ニコニコ動画

Creative Commons Attribution-NoDerivs 2.1 Japan License by JIDPO

Firefox 2

mozilla Firefox 2


Second Lifeは(C)だった!(><)

<グッドデザイン賞2008、大賞のゆくえは11/6!>

ちなみに今年ベスト15に選ばれているのはこちら

うち、2008年度グッドデザイン大賞候補は下記7つで、大賞の決定は11/6だそうです。

08A05007戸建て住宅 無印良品「窓の家」(ムジ・ネット)
08B06053オフセット枚葉印刷機 DIAMOND300シリーズ(三菱重工業)
08B07028LANシート(イトーキ)
08C12006乗用車 iQ(アイキュー)(トヨタ自動車)
08C12009乗用車 FCXクラリティ(本田技研工業)
08C13067デジタルスチルカメラ RICOH GR DIGITAL II(リコー)
08C16036PLAYSTATION(R)3のFolding@home(TM)プロジェクト協力

��ソニー・コンピュータエンタテインメント)


2008年10月6日月曜日

DEMOsa4

今回もDEMOsa4に行ってきました!今回はiPhone祭りで大盛況!立ち見が60人も出てました。


第一回DEMOsaれぽ

第二回DEMOsaれぽ

第三回DEMOsaれぽ


今回は残念ながら開発者の皆さんはAPPLEとiPhone SDKのNDAを結んでいるということもあり、動画の撮影は禁止。(直後にNDAはなくなることに。。。。うみゅ。)写真を撮影してブログにアップするのはOKというルールになっていたので、写真とテキストでいきます。


「セカイカメラのセカイ」

        頓智・株式会社 井口 尊仁

セカイカメラとは、iPhoneのカメラを物に向けてかざすと、位置情報にタグづけされた様々な情報をオーバーレイさせて表示するという仕組み。メガネでARを実現するソリューションは色々出てきていますが、それをiPhoneでやっちゃおうという試みです。物やポスターなどをセカイカメラごしに見ると、そのものについての情報や、それについて誰かが書いた感想など、様々な情報がオーバーレイで表示されます。「What you see is what you get(WYSIWYG)」な世界を実現しようとしています。


ショッピングモールを歩いていたら、お店やレストランの情報が表示されます。

セカイカメラ by you.


駅の自動販売機でiPhoneをかざすと、路線図が表示されます。

Sekai Camera by you.




まだセカイカメラをご存じない方はこちらをご覧ください。セカイカメラを世に知らしめた、TechCrunch50で披露されたスピーチの映像です。



SEKAICAMERA


実はこのセカイカメラの実機デモを見れると思って非常に楽しみにしてきていたのですが、結論から言うと、実機デモはなかったです(><)

なんと、井口さんのブログには実機デモはやらないと事前に書いてあったんですね。チェックしてなかった(><)


「セカイカメラは実機デモなんてできないんちゃう?」とか色々突っ込みをtwitterで頂いていたのですがこのブログに

ただ、今回は実機デモはやらず(すいません!いろいろ準備が大変なんです)講演をさせていただきます。


とあるので、「準備は大変だけど、やろうと思えばできる」ととらえていいのかなあと。

井口さんのはてなダイアリーも発見。

「いずれにしろ実稼働しているものを早く触っていただきたいので開発頑張ります!」


TechCrunch50では実機デモをやるかどうかの瀬戸際だったらしい。(できるってことだよね?)

「とにかくiPhoneユーザーの比率が高いはずの TechCrunch 50 で、観客や審査員がその場でiPhoneで直接タッチ&トライできるデモを果たして実現できるのか?まだまだラウンド2,3を乗り切れるかは正直未知数なのですが、ものすごく観て欲しい気持ちで一杯のデモなのです(その後、iPhoneで現地の審査員や観衆がタッチできるというデモ構想は不可能と断念)。」


既に動作プロトタイプをJason Calacanisが見たらしい。

この一例だけに限って、ライブではない作りおきのデモを認めたのだが、それはこの製品の全機能を見せる事実上唯一の方法だったからだ(TC50主催者のJason Calacanisが、動作プロトタイプが実際にiPhone上で動いているところを見ている

。。。精度は低くてもいいので、ぜひ一度実機デモを見たいなあ~!


セカイカメラについてはたくさん記事が書かれていますが下記2本をご紹介:
20分で理解するSekai Camera〜セカイカメラ関連記事のまとめ

TechCrunch50日本勢の活躍(2)Tonchidot

で、DEMOsaでの講演はかなりコンセプチュアルだったわけなのですが、いくつかスライドの写真を撮ったのでアップします。

WEBとセカイカメラの比較。
デスクトップからモバイルへ。読むのではなく見る。リアルタイム・リアルスペースの世界へ。


セカイカメラ by you.


セカイカメラのバリューチェーン。


Sekai Camera by you.

TC50で一番ウケたスライドだそうです。猿が二足歩行になっていって、でも携帯電話を下に見るところから、iPhone+セカイカメラで上を向いて歩くようになるまでという図。


Sekai Camera by you.


セカイカメラのイメージ図。


Sekai Camera by you.

セカイカメラのコンセプト。


Sekai Camera by you.

セカイカメラの世界。利用者はiPhoneを通じて色々な!!や?や♪を手にすることになります。

Sekai Camera by you.

セカイカメラの利用用途。

Sekai Camera by you.



セカイカメラのニーズのサイクル。


Sekai Camera by you.

セカイカメラの利用シーン。


Sekai Camera by you.

TC50でも紹介されていたエアフィルター。

Sekai Camera by you.

セカイカメラの収入モデル。


Sekai Camera by you.


しかし、TC50でのQAはもったいないなー ^^;;;

"Please imagine there is no web. Please join us."
"Please don't forget imagination" "Please join us."

。。。って質問に答えてない。英語ができる人がQAで壇上を降りちゃうなんてっっ(><)
とても怪しく見えてしまって、損をしてると思うなー。


。。。と、セカイカメラだらけになってしまいましたが、続けます。

DEMOsaの出演者は毎回豪勢なのですが、今回のDEMOsa4の出演者は、豪勢かつ、実際自分の手の平でいつも動かしている 「ああ、あのアプリを作ったあなたですか!!?」という親近感が :)

「newtonicaが教えてくれたこと」

        有限会社Route24 代表 西 健一


newtonica @ iPhone by you.

Dの食卓で有名な飯野賢治さん(iSummitでもお世話になりました。。。)と西さんが共同で作ったアプリ。

newtonica by you.

従来のゲームと比べて、圧倒的に少ない人数、開発期間(平日夜と土日で3人開発3人サポートで1ヶ月)で開発し、プロモーションにTVCMみたいなお金のかけ方はできないのであくまでWEB。。。だが、結構売れた。マーケットはiPhoneが売られている国すべてに広がる!

newtonica by you.

ただし、商標登録でお金がかかり、売り上げの金額も通常のゲームより一桁二桁落ちるので、儲けは少ない。アメリカなどの大きな市場で売れないとだめ。(でもその足がかりはApp Storeにはあるよね。)

「iRetroPhone」

        ObjectGraph LLC 

        President: Gavi Narra&Chief Technology Officer: Kiichi Takeuchi (武内樹一)

なんと、へぇ~ボタンアプリを作ったのもこの人たちだったんですって!

I retro phone by you.


「By HUDSON!」

        株式会社ハドソン 執行役員 本部長 柴田真人

既に公開中のゲームから未公開のゲーム(撮影禁止)まで色々!


HUDSON by you.



「バーゲン教師と割勘奉行」

        皮
なんとDRIKINさんの会社の後輩さんらしい!お仕事も忙しいので手軽に一気に作れることが重要。会社で書いているコードとアプリのコードが頭の中でこんぐらがってしまわないように、ちゃっちゃと作ってちゃっちゃと仕上げる、と。開発期間3時間、とか。


皮さん by you.

割勘奉行。幹事さんにとってのきめ細やかな設定ができます!

皮さん by you.


「物書堂の電子辞典アプリケーション」

        株式会社物書堂 代表取締役 廣瀬則仁

今、既に発売している電子辞典アプリケーション「ウィズダム英和・和英辞典」と、今後発売する「三省堂 大辞林」の紹介。
みんな気になる「ウィズダム英和・和英辞典」の売り上げ情報を、公開!みんなの目が釘付けになった一瞬でした。累計1万1千本。

電子辞典ダウンロード数 by you.


「日常を非日常に変えるサウンド系iPhoneアプリ」

        Audible Realities

iPhoneをもってジャンプするとマリオな音が出るアプリ「9の1」は、ダウンロード数ではなくてジャンプした数を計算して表示 :D

Audible Realities by you.


あれ!皇居内でも使われてる!?

Audible Realities by you.


徳井さんがこだわるのは、いかにiPhoneからユーザを解放するか。

Audible Realities by you.



「PocketGuitar を作ったわけ」

        株式会社ケイビーエムジェイ CTO 笠谷真也

PocketGuitar by you.


「Progressive Clock」

        HMDT株式会社 代表取締役 木下 誠

Progressive Clock by you.


「iPhoneは万能リモコン」

        フリーランスITジャーナリスト 林 信行

日本でiPhoneについて語るには、この人以上の方はいないでしょう、Nobiさんがトリを飾られました :D

nobiさん by you.



このほかにもいつもお世話になっている駅探エキスプレス、開発者としてのぶっちゃけ苦労話が面白かった関心空間鈴木さんの「駅ベル」、小川さんのmodiphi等々3時間以上に渡る熱い講演でした。(全部書くのは無理ぽ)

なお、次回の東京でのDEMOsaは11/30開催だそうです。我こそはという方ぜひ発表者の申し込みを♪

なんと関西でもDEMOsaをやることになったもよう。10/25に京都女子大へGO!




2008年10月4日土曜日

間寛平さんのアースマラソンプロジェクト

吉本興業の間寛平さんが「アースマラソン」というプロジェクトを始められます。

寛平さんが「基本徒歩/マラソン、歩けないところはヨット」で世界一周するというプロジェクトで、今年の12月17日に大阪でスタートし、なんと2年半かけて回られます。

これをカメラがずっと追いかけて、動画を毎日ネットに配信し、ときどき日本テレビで特別番組として放映する予定とのこと。そして、これを事業化する「製作委員会」を日本テレビ、吉本興業、電通の3社が均等出資で設立するそうです。映画はよく製作委員会方式がとられていますが、ネット動画で製作委員会をつくるというのはめずらしいらしいです。トヨタ/大塚製薬等の企業がスポンサーフィーを製作委員会に払い、番組に広告出稿をする→広告収入/DVD化など2次利用による収入を出資3社で分けるという仕組みだそうです。

なお、この製作委員会に帰属する動画の著作権は、非営利目的ならコピー・流布が自由な「
リエイティブ・コモンズ(CC)ライセンス
」を採用する予定になっており、番組の動画を個人がブログなどで自由に利用できるようになる予定です :D


せっかく寛平ちゃんが世界を回るのですから、各地のブロガーの人たちがどんどん動画を使ってくれたりするといいですね!サイトも日本語と英語でスタートしますが、通過していく国に合わせた多言語の展開も考えているとのこと。


還暦を迎えられる寛平さん、健康に気をつけて頑張ってください♪


人力と風力で地球一周「間寛平アースマラソン製作委員会」設立  (Excite News)

日テレ・吉本・電通、ネット動画で製作委、ブログ掲載自由に。(日経新聞夕刊)