2009年6月29日月曜日

Twitterと政治を考えるワークショップ

急な話で恐縮ですが、明日の夜Glocomさん主催の「Twitterと政治を考えるワークショップ」という
イベントでモデレータをさせて頂くことになりました。



Twitterの利用について、アメリカでの状況をGlocomの庄司昌彦さんが、
日本の状況をジャーナリストの津田大介さんが、イランでの状況を私がお話させて頂いた後に、
Twitterを使う国会議員として有名な橋本岳さんにもお話を伺うという会合です。



とても面白い内容になると思いますし、お値段も無料のワークショップとなっております。
会場のキャパシティがありますのでお早めにお申し込みください。



よろしくお願いします。




<「Twitterと政治を考えるワークショップ」のご案内>

米国オバマ政権は現在、「ITによる透明性の向上を通じた政策過程の変革」に集中
的に取り組んでおり、twitterの活用はその中心的な話題のひとつとして位置付けら
れています。マスメディアを通さず直接的に、随時、国民に一次情報を提供していく
ことにより、政府の透明性を高め、国民に理解やアイディアを求めたり行動を促した
りする政府への転換が起こっているといえます。
一方、日本では、このようなソーシャルウェア(Twitter、ブログ、SNS等)が社会に
与える影響は過小評価される傾向があります。

しかし日本でも政治状況が大きく動く可能性がある中、ソーシャルウェア活用への関
心は高まっており、一部の先進的な議員や政党支部等が積極的な活用に乗り出してい
るところです。国内の政治状況が流動的になる前のこの時期にぜひ議論をしておきた
いと考え、緊急開催とはなりますが本件を企画しました。皆様のご参加をお待ちして
おります。

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■テーマ:Twitterと政治を考えるワークショップ

■日時:2009年6月30日(火) 19.00~21.00
■会場:国際大学グローバル・コミュニケーション・ センター
��東京都港区六本木6-15-21ハークス六本木ビル2F)
地図:http://www.glocom.ac.jp/access

■参加費:無料

■司会:
庄司昌彦(国際大学GLOCOM 講師/主任研究員) http://twitter.com/mshouji
1976年東京都生まれ。情報社会学、政策過程論、電子政府・自治体、地域情報化、
ネットコミュニティなどの分野で調査研究に従事。

■モデレータ:
山崎富美(フリーの旅人、リサーチャー) http://twitter.com/fumi
NTT、インタースコープを経てデジタルガレージへ。テクノラティジャパンの立ち上
げ・運営などの事業インキュベーション、クリエイティブコモンズなどの活動に携わ
る。2009年1月に独立。

津田大介(ジャーナリスト) http:// twitter.com/tsuda
1973年東京都生まれ。コンテンツビジネス周辺や著作権、IT・ネットサービスやネッ
トカルチャーをフィールドに新聞、雑誌など多数の媒体に原稿を執筆している。

■ゲスト:
橋本岳(衆議院議員) http://twitter.com/ga9_h
1974年生まれ。岡山高校、慶應義塾大学、同大学院政策・メディア研究科を経て、
1998年三菱総合研究所入社。IT政策関連の調査、IPv6普及活動に携わる。2005年9月
の第44回衆議院総選挙で、比例中国ブロックより当選。

その他、著名ブロガー等、調整中。

■概要:
ユーザがそのとき感じた事を140文字以内で投稿するミニブログサービス「Twitter」
は2008年から徐々に人気を博し始め、2009年に入り爆発的なユーザの伸びを見せてい
ます。流行の震源地である米国ではオバマ大統領(当時は大統領選挙候補者)をはじ
め、オプラ・ウィンフリー、シャキール・オニール、ブリトニー・スピアーズなどの
有名人、スポーツ選手が利用しているほか、CNN、New York Timesなど、メディアの
速報サービスとして、またDellのように電子商取引へのゲートウェイとしての利用も
始まっています。

一方、政治家がTwitterを活用する事例も米国や英国では盛んで、わが国でも徐々に
Twitterを始める議員が出てきている状況です。そして、最近はイランにおける選挙
結果への抗議運動にTwitterが使われているというニュースもあり、インターネット
を介して連鎖しあう人々の「つぶやき」は政治的にも大きな意味を持ちうる事を示し
ています。
今回のワークショップでは、Twitterが政治の世界にもたらす可能性とその影響につ
いて、実際にTwitterを使っている橋本議員も迎えて議論していきます。


■参加申し込み

http://www.glocom.ac.jp/2009/06/twitter.html






なお、会場の都合で、お申し込みいただいても入場できない場合があります。
ご迷惑をおかけしますが、予めご了承のほどお願いします。




2009年6月26日金曜日

インターネットと政治

日本語で読んでいた情報をまとめて翻訳して英語ブログに掲載して、それを再度日本語に翻訳しなおすというのも不思議な話ですが英語ブログに掲載していたInternet Usage by Politiciansという記事が好評だったので日本語ブログでも多少加筆修正しながら書いてみたいと思います。ちなみに読んでおわかりになるかと思いますが、念のため。私は政治に関して何ら主義主張をしているわけではなく、あくまで事実を元に書いているつもりです。また、政治はまったくの専門外ですので色々ご指摘頂ければ修正させて頂きますのでよろしくお願いします。


政治家によるインターネット利用は日本ではなかなか複雑なところもあり、アメリカでオバマ大統領がやっていたようなキャンペーンはやりにくいという現実があります。なぜか。というわけで、まずは用語の確認。


● 用語の定義

日本の政治とインターネットを語る上で2つ重要な単語があります。東京都選挙管理委員会のホームページから引用します。

【選挙運動】 

 特定の選挙に、特定の候補者の当選をはかること又は当選させないことを目的に投票行為を勧めること。


 
日本では、選挙期間は公示日・告示日に立候補届出をしてから投票日の前日までと定められており、衆議院議員選挙で12日間、参議院議員選挙で17日間となっています。(現実はどうあれ)ルール上はこの期間だけ、投票の依頼ができることになっている。

この「選挙期間」以外に当選を目的として投票の依頼などを行うことは禁止されており、これが米国の選挙キャンペーンのように長期間アピールを続けることができる環境と決定的に異なります。なぜこのように選挙期間が短く定められているかというと、選挙期間が長引くとコストが増大してしまうためだそうです。

【政治活動】 

 政治上の目的をもって行われるいっさいの活動から、選挙運動にわたる行為を除いたもの。 



インターネットは「政治活動」には使ってよいので、政党や政治家は広報活動の一環としてホームページやブログを開設しているわけです。


政治家の方たちは政治家ブログサイトele-logを利用したり、自前のホームページなどをそれぞれ作られています。河野太郎さんや世耕弘成さん、石破茂さんのブログなど数々のブログがあり、Yahooには衆議院議員ブログリスト参議院銀ブログリストがあります。

しかし、インターネットは「選挙運動」に使うことはできない、と言われています。

その根拠とされている公職選挙法142条を引用:
  

(文書図画の頒布)

第142条 衆議院(比例代表選出)議員の選挙以外の選挙においては、選挙運動のために使用する文書図画は、次の各号に規定する通常葉書並びに第1号から第3号まで及び第5号から第7号までに規定するビラのほかは、頒布することができない。この場合において、ビラについては、散布することができない。


ウェブサイトの更新・ブログの執筆・メールマガジンの送信等のインターネットの利用はこの 「文書図画の頒布」 にあたると解釈されています。

2005年にこの件は議論を呼びました。民主党が選挙期間中にホームページを更新し、メールマガジンを送信し、それに対して自民党が総務省に公職選挙法違反ではないかと通報。民主党は自民党もニュース記事をアップデートしたと反論、といった事件が起きました。その頃の記録をこちらで見ることができます。

2007年には自民党・民主党共にウェブサイトを更新したもののお互いに黙認をしたようです。

「音声は文書図画ではないだろう」ということでポッドキャストをアップデートする政治家もいたもよう。

ライブドアの元社長堀江さんが選挙に出馬したときはライブドアのポータルサイトではトピックスページに政治関連記事を掲載しない等の措置が取られていました。

ちなみに、公職選挙法は政党や政治家だけではなく、何人にも適用されるため、ブロガーがブログに「候補者××さんに投票しよう~」と書くと公職選挙法違反になります。逮捕されることはないでしょうが。。。再び公職選挙法より引用:

(文書図画の頒布又は掲示につき禁止を免れる行為の制限)

第146条 何人も、選挙運動の期間中は、著述、演芸等の広告その他いかなる名義をもつてするを問わず、第142条(文書図画の頒布)又は第143条(文書図画の掲示)の禁止を免れる行為として、公職の候補者の氏名若しくはシンボル・マーク、政党その他の政治団体の名称又は公職の候補者を推薦し、支持し若しくは反対する者の名を表示する文書図画を頒布し又は掲示することができない。



● ニコニコ動画


ニコニコ動画はちょっと面白いポジションにいると思っています。

国会討論のテレビ録画動画を勝手にアップしたユーザがいたのですが、その中での共産党の志井和夫さんの発言がニコニコ動画を見ている若者達にとって納得のいくものだったということで再生数やコメント数がどんどん上がっていくというケースがありました。ニコニコ動画のユーザは若者が多く、この世代はテレビをあまり見ない・政治に関心が高くないと言われており、政治家にとってはリーチのしにくい層だったのだと思います。ところが発言内容が若者にとっても納得のいくもので、かつ誰かがこれは面白いとお勧めしてくれたり人気動画になっていたりすると、興味が沸いて見に行く。そういった反応を見た共産党はその後動画をあげていき、ニコニコ動画が政治家にとって若者に声を聞かせる一つの手段になりました。

そこで、ニコニコ動画が「ニコニコチャンネル」というサービスを始めたときには政党や政治家のチャンネルがどんどん作られました。

政党のチャンネル(自民党・民主党・共産党など)







政治家のチャンネル(福島みずほさん・森喜朗さん・小池ゆりこさんなど)








更にニコニコ動画が動画生中継のストリーミングサービス「ニコニコ生放送というサービスを始めると、政治家達はそれを使い始めました。生放送の最中にユーザ達は動画の上にコメントを書き込むことができます。(もし政治家がそうしたいと思えばそのコメントをリアルタイムで見ながら答えることもできますが、必ずしもそうするとは限りません)こちらは小沢一郎さんが民主党の党首だったときのニコ生で、下記は共産党の志井さんのニコ生の様子です。「海外ではどうなので日本もこうすべき」という与党批判を行うと、「その証拠は?」「よそはよそ!うちはうち!」「いやいや日本でも。。。」みたいなコメントが投稿されてきます。 








麻生首相もニコ生は利用しています。秋葉原での街頭演説をニコ生したときの
様子
です。


自民党はその後、ユーザを200人国会議事堂と自民党本部に招待し、彼らの質問に答えるという形でのニコ生を開催し、5000人が観覧していました。そのときの動画はこちら

ニコニコ動画にはもう一つ「ニコ割アンケート」というサービスがあり、ニコニコ動画のユーザにアンケートをとることができます。その中で、麻生首相に聞きたい質問を投票してもらい、首相に回答してもらうという番組も行われました。そのときの動画はこちら

ニコニコ動画には見ていてどきっとするコメントもあるので、政治家の皆さんは嫌がるかなと思ったのですが、こんなに使われるとはびっくりしました。



● 公職選挙法改正について



公職選挙法の改正についてはかなり昔から議論が行われており、民主党は10年前の1998年6月18日にインターネット選挙を解禁する公職選挙法改正案 


を提出しており、その中で選挙期間中のインターネット利用に関する条項が入っていますが今日まで改正は行われていません。





この10年前の改正案の中に「こ の公職選挙法改正で、インターネットのホームページでの選挙運動が可能になることによって、政策本位の有権者との対話が実現する。」という文言がありま す。この1文に、1998年の時点でも2つの重要な点が理解されていたことがわかります。すなわち1)有権者と「対話」を行うことが重要で2)対話の内容 は「政策」本位であるべきということです。

アメリカのオバマ大統領のキャンペーンから学べることはたくさんあると思いますが、彼は国民の理解を得よう・対話しよう・できる限りインタラクティブであろうとしていたと思います。"Change Government"の サイトでは、国民はオバマ氏が大統領になったら期待することやアイディアを投稿することができ、それを見た人がそのアイディアに投票することができ、政策 チームは新しいアイディアをそこで公開して意見を募ることができ、そして国民は質問を投稿するとHouse Press Secretaryから回答を得ることもできました。こうしてオバマ大統領達は人々が何を求めているかを知ることができ、人々はオバマ大統領が何をしよう としているのかを知ることができ、そしてそれに対して意見を投じることができ、お互いの理解と対話を深めることができたのだと思います。もちろんゴミ投稿も多発し、必ずしも意図した通りにばかりはいきませんが、少なくともサイトは、具体的な政策につ いて、意見を交わすことができるように、と設計されていました。





インターネット利用を解禁する公職選挙法改正案としては、民主党は2006年に4度目の




法案




を提出していますが、改正は行われていません。。。改正法律案より引用:







公職選挙法等の一部を改正する法律案要綱
一 インターネット等を用いた文書図画の頒布の解禁
1 何人も、選挙運動のために使用する文書図画を、ウェブサイト、電子メールその他のインターネット等を用いて受信者の使用に係る電子計算機の映像面に表示させる方法(以下「インターネット等を用いる方法」という。)により頒布することができるものとすること。
2 ウェブサイトを用いる方法により頒布される選挙運動のために使用する文書図画は、第129条の規定にかかわらず、選挙の当日においても頒布することができるものとすること。 (新第142条の3関係)



はやくこのような改正が行われるといいですね。ちなみに第2条以降はより細かいことが色々規定されています。


● Twitter






政治家によるTwitterの利用は世界中で巻き起こっています。アメリカではもちろんオバマ大統領も使っていますし、多くの国会議員が使っています



。こちらの国会議員Twitterユーザリストによると、米上院議員で19人、下院議員で51人と非常に多くの議員の方達がTwitterを使っているのがわかります。カナダも首相をはじめ、多くの議員がTwitterを使っています。イギリスの首相オーストラリアの首相など、枚挙に暇がないほどたくさんの政治家がTwitterを使っています。






この中には政治家本人がアップデートするものもあれば、スタッフがアップデートするものもあります。しかし、Twitterの本当の強みが発揮されるのはやはり政治家本人が生の声を投稿することでしょう。有名な例が共和党テキサス州選出のJohn Culberson下院議員で、下院で行われる投票についての情報をリアルタイムで投稿したり、選挙民たちからの質問に答えたりしているそうです。 Computerworldの記事から引用:


6 月12日付けの“つぶやき”としてCulberson氏は、「人々が失業保険に入るための費用を、連邦政府が納税者に支払わせることを可能にしようとする 民主党法案に、私は反対票を投じた」と書いた。同日の別の更新ではさらに、「議場では、今週最後の投票が行われた。世界各地の米軍に対する予算を認める投 票結果は得られなかった。米国防総省の資金は底を尽きかけている」と書いている。


インターネットを通じて議会の透明性を高める運動に取り組む「Sunlight Foundation」の共同創設者で理事Ellen Miller氏はCulberson氏がTwitter投稿のスタッフを抱えるのではなく、自ら読者と会話をし、日々の議員活動を伝えているのは素晴ら しいと語っています。同記事より引用:

議員みずからが立法者としての自身の公務についてTwitterに新しい情報を、しかも多くの場合、議場から書き込んで提供することは非常に新鮮で面白いことだと述べている。「Culberson氏が、現在審議中の法案についてリアルタイムで詳細に語ってくれて、その法案にどんな票を投じるつもりか、そうする理由は何かがわかる点がすばらしい」(Miller氏)


日本でも2人の国会議員がTwitterを始めています。自民党で衆議院議員の橋本岳さんと民主党で衆議院議員の逢坂誠二さん。お2人とも自らの手で言葉で、今何をやっているのかとか考えていること、議会の様子をTwitterをされているのがわかります。逢坂さんは先日行われた党首討論をTwitter中継したことで話題になりました。


こちらはその中での1記事です。スピーカーの発言を書くだけではなく、自分の感想も付け加えています。







逢坂さんは総務省にTwitterの利用について質問をし、返ってきた回答をブログに掲載載しました。引用します。

(ツイッターを使用して選挙運動を行うことについて)
公職選挙法第142条第1項は、選挙運動のために使用する文書図面について、同条が規定する通常葉書又はビラのほかは、頒布することができないと規定しています。
 コンピューター等のディスプレイ上に表示された文字等の意識の表示は文書図画に該当するものですが、同条の規定により選挙運動のために頒布することができる文書図画ではないことから、現在、お尋ねのツイッターは選挙運動のために使用することができません。



現在の日本のルールでは、「選挙運動」にインターネット(サイト更新・ブログ・メールマガジン等の配信・Twitter)は使えません。しかし、選挙期間を除く時期に行われる政治活動に使うことはでき、こうして彼らの声をリアルタイムに聞くことができるわけです。これは大きな第一歩だと思います。


さて、再び海外に目を戻します。政治家のTwitter利用で先行している地ではどのようなことが起こっているのでしょうか?

メリットについては先ほど述べたとおり、Twitterすることで政治家は有権者の生の声を聞くことができ、その逆もしかり。そんな中、色々「事件」も起きているのでその辺の話も少し。

1)Twitter中毒注意報

オランダの議会で、国会審議中に議員たちがTwitterに書き込んでいるとして下院議長のゲルディ・フェルビート氏が「礼儀上、審議中は議論に集中すべきであり、オンラインにメッセージを書き込むべきではない」と注意したというもの。オランダの政治家の中には、マキシム・フェルハーヘン外務大臣をはじめ、Twitterを積極的に活用している人がいるとのこと。(ITMedia記事より抜粋)


2)情報漏洩注意報

今年2月、米下院議員Peter Hoekstra氏は極秘の出張でイラクに行っていたのにも関わらず「バグダッドに到着」と書いてしまいました。ちなみに彼はIntelligence panelの元会長であり、国家機密を握る立場にあったそうです。バグダッド到着エントリー以降も数時間おきにTwitterをアップデートすることで彼らの旅程の詳細をばらまき続けてしまったそうです。手軽に書けて習慣化しやすいTwitterならではの過ちですが、あまりにうかつと言えましょう。(Huffingpost記事より抜粋)

3)炎上注意報

同じ米下院議員Peter Hoekstra氏が今年6月にTwitterに書き込んだつぶやきが炎上を引き起こしました。その発言とは:「現在のイラン人の抑圧と彼らのTwitterでの行動は、昨年共和党が議会から占め出された時に、われわれがとった行動に似ている」。昨年下院議長のNancy Pelosiが議会を休止してエネルギー法案の投票を阻止した際に、共和党員らがTwitterで抗議の意を表したことを指しているらしいのですが、あまりの無神経な失言にTwitterユーザたちは「今日タクシーに轢かれそうになったよ。これは天安門事件に似ている」などの皮肉を応酬したといいます。(Tech Crunch記事より抜粋)





このへんを見ていると政治家だからどうのというよりもどれもあたり前のことですよね。




ではあたり前ではないことはどんなことが起こっているか。

イランの件についてはすっかり有名ですが、実はその2ヶ月前に非常に類似した事件が起きていたということでモルドバの例を紹介します。(以下、@ITの記事より抜粋しながら引用)

今年の4月、旧ソ連のモルドバで抗議運動が起こっていました。経緯としては、4月5日に行われた議会選挙で共産党が勝利したものの、野党支持者は選挙の不正を指摘。7日以降、首都キシニョフの大統領府や議会では大規模な抗議運動が発生、負傷者も出たとのこと。このような状況を世界に知ってもらおうとモルドバのインターネットユーザーなどが、ハッシュタグ#pmanタグを付けてTwitterにメッセージを投稿し始めたのが7日。7日には#pman付きのポストが830件、8日には1672件の投稿があったそうです。#pmanはキシニョフの中央広場「Piata Marii Adunari Nationale」の略で、当時はこれを「Twitter革命」と呼ぶ人もいました。

1)「#hashtags」を使ってTwitterする 2)国内(および周辺国)から多数のポストがある 3)重要な情報はReTweet(再投稿)されて多くの人に広がる 4)Facebookにも抗議運動の情報が多く掲載 5)Twitterを使って国内の問題を海外にも知ってもらおうという戦略 6) キシニョフでは携帯電話の利用が制限され、Facebookなどのソーシャルサービスもモルドバの主要ISPによってフィルタリングされていたもよう。。。とここまで読むと、イランの事件との類似性が数多く浮かび上がってきます。つまり、Twitterユーザ達はイランの件で初めてこういう現象にあったわけではなく、規模は小さいながらモルドバで既に一度洗礼を受けていたわけです。

 モルドバ在住のMihai Moscovici氏はTwitterブログで積極的に情報発信をしている。もちろん、#pmanタグ付きだ。NYTimes.comの記事によると、7日だけで200人以上の新たなTwitterフォロワーを得たという。現在、Moscovici氏のフォロワーは500人に迫りつつある。#pmanタグ付きの発言はルーマニア語でのポストが多いが、Moscovici氏は英語で情報を発信している。


政府への抗議運動にTwitterが活用される初めての例はイランでもモルドバでもなく、例えば2008年12月のギリシャの暴動では、「#griots」のタグで情報がやりとりされていたそうです。


Twitterは間違いなく有効なツールではあります。恐ろしくパワフルで、新しい事例がどんどん積みあがってノウハウがたまっていっています。


6/26 以下削除します。
大変申し訳ございません、Twitterでご指摘頂いたのですが下記記事は嘘ニュースだそうです!
というわけでブログ記事はここまでで終了です m(__)m




ただ、Twitterを作った創業者たちの意図を遥かに超えた使われ方をしていっていることも確かなようです。Twitterの共同創業者Jack Dorseyのインタビュー記事が6/24に掲載されましたが、「僕はTwitterを有用な物にするつもりなんかなかった」と語っています。 

Jack Twitter Creator On Iran: 'I Never Intended For Twitter To Be Useful'

 世の中がイランの事例を見てTwitterのすばらしさや有用さをもてはやしまくっている今、 Jack DorseyはイランでのTwitterの使われ方にショックを受け、悲しんでさえいるというのです。


SAN FRANCISCO—Creator Jack Dorsey was shocked and saddened this week after learning that his social networking device, Twitter, was being used to disseminate pertinent and timely information during the recent civil unrest in Iran. "Twitter was intended to be a way for vacant, self-absorbed egotists to share their most banal and idiotic thoughts with anyone pathetic enough to read them," said a visibly confused Dorsey, claiming that Twitter is at its most powerful when it makes an already attention-starved populace even more needy for constant affirmation. "When I heard how Iranians were using my beloved creation for their own means—such as organizing a political movement and informing the outside world of the actions of a repressive regime—I couldn't believe they'd ruined something so beautiful, simple, and absolutely pointless." Dorsey said he is already working on a new website that will be so mind-numbingly useless that Iranians will not even be able to figure out how to operate it.



「Twitterはエゴの強い暇人たちがする平凡なバカ話なんかを、聞いてくれる人に向けてつぶやけるようなサービスとして作ったつもりだったんだ。」「イランの人たちがどのように僕の愛する作品(Twitter)を使っているか知ったときーつまり政治運動を組織したり、弾圧的な政府について世界に知らしめるために使ったりしていることを知ったときー僕はこの美しくてシンプルでまったく役に立たないはずのサイトが台無しにされたように感じた。僕はイランの人たちが使い方もわからないほどもっと役に立たない新しいサイトを、今作っているよ」と語ったといいます。

先日、英語のTwitter世界はイラン問題で沸騰しているときに日本のTwitter世界はガンダムの落雷ネタで盛り上がっていることを嘆いてみたりしてしまったのですが、日本のユーザは実はTwitterの創業者Jack Dorseyが正に意図した通りの使い方をしているということかもしれません。そこに「バカ(な話)と暇人」という二つのキーワードが入っていたことも見逃せません。(ちなみに私はバカで暇人と言われる人には、頭がよくて忙しい人が作れない面白いものを作り出す可能性があると思っているので、バカと暇人がたくさんいるweb世界もちっとも「残念」だとは思いません。それに、世の中頭がいいと思っている人が実はバカだったり、忙しい忙しいとか言っている人が実は時間の使い方が下手なだけかもしれないし、「バカで暇人」に見える人が実はすんごい能力者だったってこともありえるし。頭がよくて忙しい人「も」含めて色々なバラエティに富んだ人々がいた方が面白いと思っているだけです。ネガティブコメントは別です。できればポジティブに、批判があればよりよくする提案に変えて気持ちよくウェブ世界にありたいと思います。。。)

さて、創業者の意図はさておき、Twitterの有用性は既に証明されてしまっているわけで、我々はどのようにそれと向き合い、使うのか。政治家はどのように向き合い、使うのか。などなど、色々なことを考えさせられる日々です。