2008年12月31日水曜日

John Lennon は何を imagine するのか

One Laptop Per Child (OLPC)とは、MITのニコラス・ネグロポンテを中心とし、発展途上国の子供達に100ドルPCと呼ばれるノートパソコン(XO)を配布し、全ての子供達に教育の機会を与えようというNPO。


以前は発展途上国の政府が契約し、その国の子供達に配布するという形態をとっていましたが、昨年開催したGive One Get One(G1G1)プログラムの成功により、改めて399ドル払えば一台を発展途上国の子供に寄付し、一台を自分のために購入することができるという「G1G1プログラム」が開始しました。もちろん自分はいらないという方は199ドルで発展途上国の子供に寄付するという「寄付プログラム」もあります。上記2つのプログラムでは、どこの誰にパソコンが渡るかわからないのですが、100台以上を寄付する場合に適用される、どの学校にパソコンを寄付するかを指定できる「Change the World」というプログラムもあります。この場合は最貧50カ国もしくはOLPC契約国の場合は一台219ドル、それ以外の国の場合は一台259ドルとなります。

私も個人的にOLPCを応援しています (^^)/

ところでOLPCで最近話題を集めたのはこちらの広告。

故John Lennonさんの声を、オノ・ヨーコさんの許可を得て、デジタル処理でリップシンクさせてCMに使い、
 John Lennonがメッセージを言っているように見せる、というもの。ちなみにこの声は無料での提供となっています。

What Mr. Lennon says, thanks to digital production, is: "Imagine every child, no matter where in the world they were, could access a universe of knowledge. They would have a chance to learn, to dream, to achieve anything they want. I tried to do it through my music, but now you can do it in a very different way. You can give a child a laptop, and more than imagine, you can change the world."


「想像してごらん。世界中の全ての子供がどこに住んでいても知識を得ることができるということを。彼らは学び、夢を見て、ほしい物を手に入れることができるというチャンスをつかむことができるようになる。僕は音楽を通じてそれをやろうと思ったけれど、今皆さんは違うやり方でできる。そして、想像するだけではなく、本当に子供達にラップトップをプレゼントして、世界を変えることができるんだ。」

日本でも故人が出演するCMは多く存在します。オードリーヘップバーンさんとか、本田美奈子さんとか。

ただ、デジタル技術の発展によって、よりリアルに、あたかも本人が言ったように見えるというのが
今回の広告の特徴で、だからこそそのモラリティについて議論がまきおこっているのでしょう。
オードリーの写真に広告テキストを載せているのと
ジョンの口が動いて、彼の声でメッセージが発せられるのではインパクトが相当違います。

今回は、オノ・ヨーコさんの許可を得ているわけですし
本当にJohnが生きていたら恐らくOLPCをサポートしたであろうと思われるということでよいケースだと思いますが
今後こういった広告が増えていったときにどこまでが許容範囲なのか。どこまで行ってしまうのか。
踏み越えてはいけない「一線」はどこにあるのでしょうね。



2008年12月26日金曜日

Internet Overtakes Newspapers as News Source in US

Figure

Pew Research のデータより:


Internet Overtakes Newspapers as News Source


ニュースの情報源としてインターネットが新聞を超えたという。サンプルの偏りもあるのだろうけど、2001年に13%、2007年に24%だった「インターネットを情報源とする」という回答が2008年は40%にまで跳ね上がっているという定点観測は興味深い。

The internet, which emerged this year as a leading source for campaign news, has now surpassed all other media except television as a main source for national and international news.
Currently, 40% say they get most of their news about national and international issues from the internet, up from just 24% in September 2007. For the first time in a Pew survey, more people say they rely mostly on the internet for news than cite newspapers (35%). Television continues to be cited most frequently as a main source for national and international news, at 70%.


30歳未満の若者に至っては59%がネットのニュースから情報を得ていると回答、この数値はテレビとほぼ同じ。2007年の結果がテレビ(68%)に対してインターネット(34%)だったことを考えるとネットの重要性がこの一年間で大きく増したようだ。

For young people, however, the internet now rivals television as a main source of national and international news. Nearly six-in-ten Americans younger than 30 (59%) say they get most of their national and international news online; an identical percentage cites television. In September 2007, twice as many young people said they relied mostly on television for news than mentioned the internet (68% vs. 34%).


元記事はこちら


iSummit2008の基調講演で、Mohamed Nanabhay氏が語っていたこの世界↓をますます実感しますね。


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2008年12月4日木曜日

Business Success in Open Networks- Episode #6

LinkedIn と Joi Labs と 慶應義塾大学國領研究室の合同プロジェクトとして行っている、 "Business Success in Open Networks" 最終回の映像を公開しました。


過去の映像はそれぞれ下記からご覧頂くことができます。
Episode1伊藤穰一(Joi)氏/國領二郎氏
Episode2新生銀行の八城政基様
Episode3マネックスの松本大様
Episode4弁護士の牧野二郎先生
Episode5日経新聞の関口和一様

最終回はJoiと國領先生のまとめになっております。

早速映像をご覧ください。

<前半>

Business Success in Open Networks Episode #6-1

<後半>

Business Success in Open Networks Episode #6-2


<前半>


webアンケートの結果から:

●若者は大企業志向/40代の独立志向

日本では「寄らば大樹の陰」という考え方が強く、オープンな働き方といっても難しいのでは?という仮説に対し、調査結果は個人名より会社名を重視し、大企業志向であるという結果。ただし、「会社より個人」「会社の大きさは関係ない」「起業したい」というタイプの人も少なくはなく、希望は持てる。

若者が元気よく、年齢が高い人は押さえつける構図を仮説としてもっていたが、逆に40代で経験を積んで自分の力でやっていける層の方がオープン指向で、20代の若者に大企業指向が多い。これは、今の学生を見ているときの肌感覚に合う。大学にいる間はガンガンやって起業したりもするが、最初の就職は一旦大組織に入り、教育に投資してもらい、大きなプロジェクトを経験した上で3年後に辞めて自分でやるぞという発想があるようだ。

大多数がどうかよりも、数人のポテンシャルの高い人をエンパワーすることが大事であり、全体の傾向とは別に数字的にはマイノリティだけれども変わったセグメントを増幅させることも考えていくべきなのかもしれない。

●匿名性について

仮説通り、調査結果でも実名に対する抵抗感が大きく、日本における匿名文化は根強いようだ。「出る杭は叩かれる」文化が要因なのかもしれない。

イギリスでは実名を変えることができるが日本では戸籍があって実名を変えることはできず、実名の深みが違う。アメリカではアカウンタビリティのなさという問題がクローズアップされている。実名で詐欺を行うインベストメントバンカーもいたが、日本では実名で詐欺を行う人は少ない。

匿名文化が強いと言ってもリスクテーキングしている人達はやはり実名で行っている。

<後半>

●オープン性が真の成果を出すには「自分で考えて自分で判断する能力」が必要

「オープンネットワーク」だからといって大量のデータをオープンにすると、情報が多すぎて処理しきれず、わからなくなる。大事なことは何か、「伝える気持ち」が大事。また、どんなにコンプライアンスと言っても、隠そうと思えば隠せる。アーキテクチャより一人一人の意識が重要。更に、情報の受け手側の判断力も必要になる。情報がオープンになっても、意味を理解し判断をする能力をもっていないと「オープン性」の真の成果は出ない。

本シリーズ第二回ゲストとして登場して頂いた八城さんは、キャリアの前半にシステマティックな教育を受けた効果を強調しておられた。どんどん自分でキャリア形成するという当初想定していたモデルとは異なるが、しっかりしたモデルで育てられることでどんな変化に際しても「ビジネスの本質は同じ」として活躍できる。「自分で考えて自分で判断する力をいかに作るか」が重要。

●リスクテイカー

シリコンバレーでは移民の社長が多いのだが、そもそも移民でアメリカに来る人はリスクテイカー。日本人が実名を出したくない人が多いのは、新しいことをやるとまずはどんな「迷惑」がかかるかを見られ、叩かれてしまうから。移民で来る人たちは叩かれても失う物が少ないが、日本人は叩かれたら損をするし、守るべき物がある。とがったことをする人をすぐに叩くのではなく、もっとチャンスを与えられる包容力のある世の中を作り、創造性を発揮できる環境を作ることが重要だ。

若者をどうやってリスクテイカーにして、応援できるかが重要。また、思いが共通する人達を世代を超えて組織化していき、彼らが活躍できる環境を作っていくことが重要なのではないか。

●まとめ

景気がよいと人は変化を起こしたがらないものだが、今回経済不況になった結果、次のモデルとして何を作り出せるかが重要になる。「Business Success in Open Networks」というコンテクストで考えたときに、今回の問題は「Business Failure in Open Networks」だった。今回の問題の学びとして、「単にオープンにするというだけではだめで、一人一人の意識、評価をする力、教育、多様性等いろいろなことが必要」ということがあった。今回の問題を利用すべきであり、失敗の中からのサクセスの方が成功を作りやすい。不景気のときに本音でつきあった人との方がネットワークができる。

個々の人間の力をどれだけ引き出せるかが大きなポイントであり、その個々の力をつないでいくためにはオープンインターフェースが必要。その上で、確かな判断力を備えていないと機会が活きてこないし今回の金融の問題のように暴走させてしまうこともあるということを学んだ。オープンモデルでなければサクセスはないという確信は深まったが、それを確実にするための人に対する投資は大事である。

人間一人一人のキャリアを大事にし、個人に能力がたまっていき、人々の可能性が広がる社会を作っていきたいですね。



Business Success in Open Networks- Episode #5

LinkedIn と Joi Labs と 慶應義塾大学國領研究室の合同プロジェクトとして行っている、 "Business Success in Open Networks" の第5弾映像を公開しました。

過去の映像はそれぞれ下記からご覧頂くことができます。
Episode1伊藤穰一(Joi)氏/國領二郎氏
Episode2新生銀行の八城政基様
Episode3マネックスの松本大様
Episode4弁護士の牧野二郎先生

そして今回Episode5 では、Joiと國領先生をホストに、日経新聞の関口和一様にお話を伺いました。関口様、貴重なお話をありがとうございました!

早速映像をご覧ください。


<前半>

Business Success in Open Networks Episode #5-1

<後半>

Business Success in Open Networks Episode #5-2


<前半>

●日本の競争力低下の原因は?

インターネットにより、ビジネスのルールが変わってきた。経済の根幹が製造から情報に移り、日本の競争力は落ちていった。日本が強みをもっていた農業/工業ではチームワークが重要だったのに対し、ソフトやネットワークでは狩猟民族的なアプローチが必要。また、資本の振り分け方も変わってきた。農業/工業の時代には工場や設備に資本を投下して生産性を上げ、個人の能力にそれほど違いがないという前提のもとシステムが作られていた。情報化の時代には一人一人の人間に対する資本装備率が重要になり、人が多ければベースも大きく優秀な人が出現する確率も高くなり更に資本装備率によって競争力の差が広がってきた。

●なぜ日本でオープン化が進まないのか?

工業時代は設備があり、人間がそこに集まって労働し、時間的に拘束され、所属が求められた。情報化時代/ネット時代では同じ人間が複数の空間で労働することができる。日本の会社は派閥主義で、それらに属さないとやりたいことができない。最近は色々な会社の名刺をもち、様々な会社に自分のタレントを売る人も増えてきたが、まだ怪しいと思われている。

●ワイヤレスを例とし、イノベーションについて考える

インターネットにより通信のパラダイムが変わった。かつての通信業界は国と国が合意して決め合う世界だったが、インターネットは政府が作っているのではないし、合意をして決めるのではなくコンテンツを見たい人が自分でつなぎにいく世界。ワイヤレスでは、電波は公共の物であり、売り買いはできず、割当は政府が決めるということになっている点がインターネットと異なる。アメリカでは電波のオークションがあり、新しいルールメイキングの話題がでてきている。全てアンライセンスにしてはどうかという仮説もあるが、ネットワーク中立性の議論を始めとして、ネットワークはコントロールするべきという考え方も根強い。

全てをアンライセンスにすればよいというものではなく、飛行機や警察など公共の目的の場合は専用に電波を割り振り、デジタル家電や個人のイノベーションなどを目的とした場合はアンライセンスにしてもよいのではないか。「まず試そう」という発想が重要。アメリカ人は西洋からきて旗を立てて自分の物にしてきたという背景があり、電波を取った人も努力をしてその努力が評価され、権利が守られる。日本では憲法17条「和をもって尊し」がカルチャーであり、農業中心で狭い国土を痛めずに使い続ける知恵を求められる。アメリカではアイディアがあったら「原則やってよい」とされており、問題が起きたら直すが、日本では何かやったら必ず迷惑がかかることが発生するから、まずは合議をする。

ワイヤレスのコードレス電話の事例がある。1985年に日本のワイヤレスコードレス電話が8万円で販売されていた頃、日本製でアメリカから逆輸入された物は流通コストを含んでも1万円だった。なぜか。アメリカは国土が広いので、電波を2チャンネルの手動切り替えとし価格が安かったのに対し、日本は将来国民全員がコードレスを使っても問題が起きないように128チャンネルのマルチチャンネルシステムでチップが高額だった。これはおかしいのではないかという提言により審議会が開かれ、コードレスの金額は1万円に下がって日本でコードレス電話が普及した。


<後半>

●農業を例とし、日本について考える

食の安全を起点として農業の重要性が叫ばれているが、やる人は少なく、跡継ぎ問題が多く発生しており、産業として難しい。また、少ない農業をやる人に対して、周辺事業である農薬販売/機械販売事業者等が付加価値を奪っており、農家が儲からない仕組みになっている。現在の弱小な農家がたくさん存在する体制から集約化を行わなければならない。農業ベンチャーはネット販売により、農協等の中間マージンなしに直接農家と消費者をつなぐという取り組みを始めているが、日本の農業を完全に救える規模ではない。農業は天候に左右されるため、ある程度のもたれあいは必要だが、農協以外にやり方はあるのではないか。アメリカでも、大企業で農薬を販売している会社は儲かっているが、農家は儲かっていない。政治的な「ポリシーメイキング」にくいこむことが重要。

何が起きたら日本は変わるか?かつては明治維新/戦争が起きたときに、世代交代/パラダイムシフトが起きた。現在は、平和なのはよいのだが、農業時代のメカニズムで、徒弟制であり、しきたりはかわらない文化が続いている。アメリカのテキサスの米農家を訪ねたら、ヘリコプターを使い、大きなパラボラアンテナを設置して世界中の穀物マーケットの情報を取得し、チャートを書きながら農業をやっており、極めてフレキシブルである。

日本は、広い視点で物事を見直すべきだし、過去のしきたりも検証し直すべき。通産大臣が「米開放もやむなし」という発言をしたところ、記者は「あなたの政治生命が危うくなりますよ」などという永田町の論理に従った質問をしたのだが、オープン化について質問すべきだろう。

●リセットの時期

世界的にリセットの時期が来ている。アメリカ的な物が否定されていると言われているが、実はアメリカの東海岸的なキャピタリズム/金融が否定されているのであってインターネット的なオープン性の始まりなのではないか。アナリー=サクセニアの「リージョナル アドバンテージ」(邦題:現代の二都物語)という本で検証されていることだが、かつてアメリカのコンピュータ産業は東海岸(IBM/GE)中心に発展していたが、西海岸(シリコンバレー)に取られてしまった。東海岸は囲い込み型/verticalなビジネスモデルだったがパソコンは水平分業にすることで産業効率が高まるので東海岸は西海岸に負け、同様に東海岸方式だった日本もシリコンバレーに負けた。その後アメリカの東海岸は金融工学を軸として新しい流れを作ったが、今また価値観の否定が起こっている。新しいビジネスを立ち上げるためにはオープン性が必要だが、ビジネスモデルが作れるかが本当に重要になる。

●インターネットの4年サイクルトレンド

1995/96年頃 Web1.0/インターネット普及
2000年 バブル崩壊
2004年 Web2.0/Google 上場
2008年         危機

Web1.0が破綻した理由はきちんとキャッシュを稼げていなかったからだが、ネットワークを広め、ネットを通じたコラボレーションができる環境ができ、そのおかげでオープンソースが普及した。だからこそWeb2.0企業はWeb1.0の1/500程度のコストで運用できるようになった。

今は、情報のハンドリングが問題になってきている情報がありすぎて本当の情報がわからなくなっている。また、情報の非対称性を是正するしくみが必要になる。Googleの中はブラックボックスであり、情報のハンドルのされ方が見えない。以前はMSが情報を抱え込んでいたが、今はGoogleが抱え込んでいる。ユーザは一カ所に情報を溜め込まずに複数のサービスを使うなどしてリスクヘッジを行う必要がある。

トレンドとしてのオープンは続いて行き、最終的には「個」に帰着するのではないか。誰でも情報にアクセスできる環境が重要。

●キー年齢「19歳」

Bill Gates/Mark Zuckerberg/Michael Dell/Mark Andreesen/Shawn Fanning等はみんな19歳のときにイノベーションを起こしている。「19歳」は、制約にとらわれない発想で作れる年齢。その19歳を日本では無駄遣いしている。会社では新米扱い、はなたれ小僧扱いで黙って聞いていろといわれるのが日本社会。日本でも、19歳の若者が「やってみよう」と思ったときに環境を与えられることが重要。「ユビキタス特区」のように、SFCで、先生に断らずに変なワイヤレスアプリを作ってみて試せる環境を作りたい。

●キー年齢「76世代」

mixi笠原氏やGREEの田中氏の世代で、大学に入ったときにはインターネットが使えた世代。大学のノートをコピーして回すということをデータをネットで共有しスピードが全く違う。

●キー年齢「1959年生まれ」

大学に入ったときにインベーダゲームがあり、会社に入ったときにNECのPC98があった。個人としてのコンピュータ化の洗礼を最初に受けた世代で、コンピュータを使った効率化をいとわない。國領先生/関口さんを始め、任天堂の岩田さん/スクウェアエニックスの和田さん/ノーベル賞を取った田中さん/ネットイヤーの小池さんがこの世代。若いときに洗礼を受けたことは重要。

日本は徒弟社会/農耕民族で、若い人の意見を聞かない。技術革新は若い世代が作っているので、耳を傾けることが重要。ジム•クラークによると、成功の秘訣は「自分より頭がよく、自分より若い人と組むこと」。日本の経営者は自分がトップでないと満足できないのでいやがるが、変えていかなければならない。


Business Success in Open Networks- Episode #4


LinkedIn と Joi Labs と 慶應義塾大学國領研究室の合同プロジェクトとして行っている、 "Business Success in Open Networks" の第4弾映像を公開しました。

過去の映像はそれぞれ下記からご覧頂くことができます。
Episode1伊藤穰一(Joi)氏/國領二郎氏
Episode2(新生銀行の八城政基様)
Episode3(マネックスの松本大様)

そして今回Episode4 では、Joiと國領先生をホストに、弁護士の牧野二郎先生にお話を伺いました。牧野先生、貴重なお話をありがとうございました!

早速映像をご覧ください。

前半

Business Success in Open Networks Episode #4-1

後半

Business Success in Open Networks Episode #4-2

●内部通報を行うと裏切り者としていられなくなる?

現在、牧野先生はコンプライアンスや透明性の向上について、取り組んでおられる。勇気ある個人が内部通報として声を上げることで、問題が解決に向かう。アメリカだとFBIの内部通報者はTIMEの表紙を飾ったりするが、日本だと逆で「臭い物にふたをしろ」ということになっているのではないか。ある日本の内部通報者は、Joiのブログに掲載してほしいと通報してきた。自分が内部通報者だとばれるとまずく、官僚もマスコミも信用できないからだという。ただし、昔ほどひどい「裏切り者」扱いではなくなってきた。

●コンプライアンスは書類づくりがいっぱいで無駄が多い?

「働きやすく」するためではなく、金融庁や税務署のためのコンプライアンスになっている。個人情報保護のために名刺を捨てたりPCのデータを消したりして結果的に事業活動が低迷してしまう。書類を作る理由も考えずにガイドラインに従うだけではいけない。効率よく業務を行いつつ、利益も追求しつつ、コンプライアンスも守るべき。

●オープンにすることのベネフィット

品質がよい商品、きちんとコントロールされたプロセスをオープンにすれば少し高くても競争力を持って売れる。

ダスキンの事例→肉まんじゅうに食品衛生法違反の物が入っていたが、きちんと監督されていたので免責された。ただし、薬品が入っていることをもみけしたら損害賠償ということになる。オープンにすることが信頼を産む。企業の隠蔽体質を払拭し、透明性のある経営を、経営者が行うべき。「犯人は誰だ?」という犯人探しを日本人は好むが、それよりも原因を明らかにし、再発防止をすることの方が重要。

携帯電話や自動車等は、ソフトのバグがどんどん産まれ、同じような事故が起きる。よって、自前主義で作るのではなく、基本的なパーツ/OSを統一し、共通基盤を作ってバグだしを全員で行い、アプリは各社で考えるという動きがでてきており、経営者の考え方も変わってきた。ただし、人材の流動化は進んでいない。人については囲い込みが行われている。

●ジャーナリズムの低下

ジャーナリストは企業や政府をきちんと批判すべき。サブプライムの件でも、購買能力のない人に購買能力があるように審査を通すということが行われているのを、メディアはわかっていたはずであり、もっと早く切り込むべきだった。メディアの意義は大きく、ジャーナリストが命がけで情報を取りにいき、その情報を広めるためのシステムは重要。ブロガーが切り込む記事を書けない理由は訴えられてしまうからというのが大きく、ジャーナリストは金銭的/法律的なバックがないと切り込むのが難しい。だからこそ「プロはプロらしく」切り込むべきところに切り込むべき。


●匿名文化について

匿名はメリット/デメリットがある。やさしい文化である反面、攻撃する際に匿名をたてに取るのは卑怯だと思う。匿名の内部通報は目的が正しいということが重要。

実名でないと言えないこともあり、重要なことほどリスクが高い。ジンバブエやイランではブロガーが殺されたり逮捕されて拷問されることもある。

技術面/制度面を両方考えるべき。技術面では、厳密な匿名性を防ぐのは技術的に不可能。今の世界では個人情報はどんどん出て行ってしまっている。制度面では、弁護士を始めとする代理人を通すことで匿名性を残すことができる。

プライバシーについては、公人に近い人は情報をオープンにして自分で公開することがリスクマネジメントになる。企業も、間違いをきちんと公開し、透明性を高めることが重要。権力を持っている人ほど透明/オープンにすべき。普通の人は情報開示については情報開示を気をつける必要がある。
●情報を開示することのメリット

ビジネスの場で、個人名でのスキル/経験/トラブル経験と解決体験を求められるケースが増えてきた。アウトソーシングをする際や弁護士に依頼する際、品質保持のためにも、個人のスキルを評価して、スキルがある人は選ばれる。つまりスキル/経験がある人はその情報をもって仕事が得られるようになるのでは。

●ジャーナリズムの役割

役所や企業に対してジャーナリストは命がけで情報をとりに行き、叩くべきところは叩くべき。企業側も昔は黙っていればよかったが、今は問題はバレるので、透明性は重要になってきている。