2008年12月4日木曜日

Business Success in Open Networks- Episode #6

LinkedIn と Joi Labs と 慶應義塾大学國領研究室の合同プロジェクトとして行っている、 "Business Success in Open Networks" 最終回の映像を公開しました。


過去の映像はそれぞれ下記からご覧頂くことができます。
Episode1伊藤穰一(Joi)氏/國領二郎氏
Episode2新生銀行の八城政基様
Episode3マネックスの松本大様
Episode4弁護士の牧野二郎先生
Episode5日経新聞の関口和一様

最終回はJoiと國領先生のまとめになっております。

早速映像をご覧ください。

<前半>

Business Success in Open Networks Episode #6-1

<後半>

Business Success in Open Networks Episode #6-2


<前半>


webアンケートの結果から:

●若者は大企業志向/40代の独立志向

日本では「寄らば大樹の陰」という考え方が強く、オープンな働き方といっても難しいのでは?という仮説に対し、調査結果は個人名より会社名を重視し、大企業志向であるという結果。ただし、「会社より個人」「会社の大きさは関係ない」「起業したい」というタイプの人も少なくはなく、希望は持てる。

若者が元気よく、年齢が高い人は押さえつける構図を仮説としてもっていたが、逆に40代で経験を積んで自分の力でやっていける層の方がオープン指向で、20代の若者に大企業指向が多い。これは、今の学生を見ているときの肌感覚に合う。大学にいる間はガンガンやって起業したりもするが、最初の就職は一旦大組織に入り、教育に投資してもらい、大きなプロジェクトを経験した上で3年後に辞めて自分でやるぞという発想があるようだ。

大多数がどうかよりも、数人のポテンシャルの高い人をエンパワーすることが大事であり、全体の傾向とは別に数字的にはマイノリティだけれども変わったセグメントを増幅させることも考えていくべきなのかもしれない。

●匿名性について

仮説通り、調査結果でも実名に対する抵抗感が大きく、日本における匿名文化は根強いようだ。「出る杭は叩かれる」文化が要因なのかもしれない。

イギリスでは実名を変えることができるが日本では戸籍があって実名を変えることはできず、実名の深みが違う。アメリカではアカウンタビリティのなさという問題がクローズアップされている。実名で詐欺を行うインベストメントバンカーもいたが、日本では実名で詐欺を行う人は少ない。

匿名文化が強いと言ってもリスクテーキングしている人達はやはり実名で行っている。

<後半>

●オープン性が真の成果を出すには「自分で考えて自分で判断する能力」が必要

「オープンネットワーク」だからといって大量のデータをオープンにすると、情報が多すぎて処理しきれず、わからなくなる。大事なことは何か、「伝える気持ち」が大事。また、どんなにコンプライアンスと言っても、隠そうと思えば隠せる。アーキテクチャより一人一人の意識が重要。更に、情報の受け手側の判断力も必要になる。情報がオープンになっても、意味を理解し判断をする能力をもっていないと「オープン性」の真の成果は出ない。

本シリーズ第二回ゲストとして登場して頂いた八城さんは、キャリアの前半にシステマティックな教育を受けた効果を強調しておられた。どんどん自分でキャリア形成するという当初想定していたモデルとは異なるが、しっかりしたモデルで育てられることでどんな変化に際しても「ビジネスの本質は同じ」として活躍できる。「自分で考えて自分で判断する力をいかに作るか」が重要。

●リスクテイカー

シリコンバレーでは移民の社長が多いのだが、そもそも移民でアメリカに来る人はリスクテイカー。日本人が実名を出したくない人が多いのは、新しいことをやるとまずはどんな「迷惑」がかかるかを見られ、叩かれてしまうから。移民で来る人たちは叩かれても失う物が少ないが、日本人は叩かれたら損をするし、守るべき物がある。とがったことをする人をすぐに叩くのではなく、もっとチャンスを与えられる包容力のある世の中を作り、創造性を発揮できる環境を作ることが重要だ。

若者をどうやってリスクテイカーにして、応援できるかが重要。また、思いが共通する人達を世代を超えて組織化していき、彼らが活躍できる環境を作っていくことが重要なのではないか。

●まとめ

景気がよいと人は変化を起こしたがらないものだが、今回経済不況になった結果、次のモデルとして何を作り出せるかが重要になる。「Business Success in Open Networks」というコンテクストで考えたときに、今回の問題は「Business Failure in Open Networks」だった。今回の問題の学びとして、「単にオープンにするというだけではだめで、一人一人の意識、評価をする力、教育、多様性等いろいろなことが必要」ということがあった。今回の問題を利用すべきであり、失敗の中からのサクセスの方が成功を作りやすい。不景気のときに本音でつきあった人との方がネットワークができる。

個々の人間の力をどれだけ引き出せるかが大きなポイントであり、その個々の力をつないでいくためにはオープンインターフェースが必要。その上で、確かな判断力を備えていないと機会が活きてこないし今回の金融の問題のように暴走させてしまうこともあるということを学んだ。オープンモデルでなければサクセスはないという確信は深まったが、それを確実にするための人に対する投資は大事である。

人間一人一人のキャリアを大事にし、個人に能力がたまっていき、人々の可能性が広がる社会を作っていきたいですね。



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